世界中で夏のビッグイベントとなった「夏フェス」
8月、9月が終わり、今年もまた夏フェスシーズンが過ぎ去りました。読者の皆さんの中にも、フジロックやサマーソニックなど大型野外音楽フェスに参加された方がいるのではないでしょうか? 特にこのふたつの野外フェスは、夏定番のイベントとして認知された感があります。またこの他にも日本各地では大規模から小規模までさまざまな夏フェスが開催され、多くの音楽ファンが足を運びました。今や夏フェスは多くの音楽好きにとって日本の風物詩となって、日本各地に定着しつつあります。
今、「CDが売れない」不況と言われ続けている音楽業界において、ライブビジネスは大きな収益を生む魔法の泉です。世界的に見てみると、近年アメリカやイギリスの大型野外フェスは軒並み動員数を増大させています。たとえばカリフォルニア州で開催される「コーチェラ・フェスティバル」は2012年に15万人、2013年には18万人という結果になっています。その他にも「ロラパルーザ」は2012年に27万人、2013年には30万人と過去最大の動員数を記録、イギリスの「グラストンベリー・フェスティバル」は2013年に13万5000人など、音楽フェスの人気は衰えを知りません。
では日本の夏フェスはどうでしょうか? この世界的なフェス人気のトレンドは、ここ日本でも同じです。フジロックは不安定な天候にもかかわらず、前夜祭も含め三日で11万人、サマーソニックでは合計約23万人(東京13万人、大阪10万人)という過去最高の動員数を記録しました。
「EDM」(エレクトロニック・ダンス・ミュージック」の世界的な隆盛
音楽業界では、新しい音楽ジャンル「EDM」(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の勢いが世界中で拡大し、EDMアーティストのライブやフェス、ツアーが大きなビジネスにもなっています。たとえば2013年のケースですと、ラスベガスで開催される「Electric Daisy Carnival」には3日間で約35万人、マイアミで開催される「Ultra Music Festival」には33万人の音楽ファンが訪れます。ひとつのジャンルの音楽でこれだけの規模の集客が実現でき、さらにこれまではクラブでしかプレイする場所がなかったDJ達がイベントの中心的存在へプレゼンスを拡大しているEDMには、特に10代20代の音楽ファンの獲得を狙っている海外の音楽業界から熱い注目を集めています。
動員数もさることながら、ライブの収益もどんどん拡大しており、大物アーティストになればなるほど大きな収益へとつながります。昨年世界で興行1位だったアーティストはマドンナで、ツアーの総動員数は160万人を超え、収入は約2億3000万ドルにも上ります。フェスの運営者やスポンサー企業にとって、音楽フェスは新しい市場であり大きなビジネスの世界になりました。そして音楽業界はこの勢いを維持し拡大させるために、新しいテクノロジーを駆使して問題を解決し、毎年より多くの音楽ファンがフェスを楽しめるような仕掛け作りに注力しています。
今回は音楽フェスやライブで近年注目されているテクノロジーに注目してみました。