仮説9「ネット会員はロイヤルカスタマーと言える?」
1年ほどかけて検証した結果、「ロイヤルカスタマーになる確率が非常に高い」と小玉氏。
「イオンカードを単独で持っている方がロイヤルカスタマーになる可能性を1とすると、イオンカードに加え、WAONを利用し、ネット会員になってくださった方は8倍違うんですよね。ですから、イオンカード、WAON、イオンスクエア会員、この3つをいかに持っていただくかを考えていきたいと思っています」

仮説10「クリック&モルタルはカニバリを起こす」
これについて小玉氏は、「カニバリを起こさない」ときっぱり。
「店舗とネットスーパーを併用されているお客さまのお財布シェアを調べたところ、店舗の利用金額が減るのではなく、2倍になるんです。リアル店舗の場合、eコマースを活発化させていくと自分たちの売り上げがとられるんじゃないか、そういう思いを持っている人が多いんですが、まったくの誤りだということがわかります。
リアルでお買い上げのお客さまにいかにネット会員になっていただくか。お客さまのお財布シェアを上げ、我々の売り上げシェアを上げていくかが課題となります」

ブランドで安心・安全を担保し、心に訴えるeマーケティングに
これらの仮説を検証し、小玉氏がたどり着いたのは「Webの世界はいかに心に訴えるかだ」ということだった。
「これまでの商売は、いかに合理的にお客さまを説得するのかというものでしたが、Webの世界はまったく違う。いかに情緒性に訴えるか、心に訴えるのか、それが非常に重要で、差別化につながると考えています。
当然、そのためには、安全・安心を担保するブランド力が必要なんです。幸いなことに、我々イオンには250年という歴史があります。イオンであれば安全・安心であるということを前提にすれば、情緒性に訴えるマーケティングは非常に有益なのではないでしょうか。
これを踏まえ、これからもこだわっていきたいのは、お客さま参画型であるということ。さきほどゲーミフィケーションの話をしましたが、参画していただくことでお客さまの購買行動は飛躍的に上がっていくのですから。
このeマーケティング仮説をもって、これからの1年、しっかり検証し、その結果をこの場で共有できたらと思っています」(了)