多岐にわたる顧客層を整理、キャンペーンを自動化
事業者向けに、300万点もの工具や部品を扱う大手MRO通販企業は、60万の顧客、1,200万件以上の購買情報という膨大なデータをより有効に活用していくことに課題を抱えていた。特に、自動車整備工場から食品加工所、農業研究所など、顧客の業種の幅が多岐にわたるため、施策を検討するための分析データを整備するだけでも膨大な時間がかかってしまっていたという。
「特価キャンペーンを毎日行っていましたが、顧客層が幅広いことから、ニーズにまったく合わないものも出してしまっている状況でした。それを整理し、予測モデル構築を自動化して、キャンペーン管理ソリューションに統合。ターゲットにしっかり合ったキャンペーンを、自動で年間500以上も実施できるようになり、売上増につながりました」(東氏)。顧客の状況もそれぞれ異なるため、EメールやFAX、カタログ、Webサイトなどマルチチャネルでの展開も奏功した。
ほかにも、世界最大級の金融サービスとして約5,800万人の顧客を抱える米国大手金融機関が、予測分析により顧客の流出を防いでいる事例などが紹介された。顧客が多いほど、当然ながら顧客の属性や購買・行動データは膨大になる。「それを扱う時間を短縮し、人的な負荷を減らせることも、ツール導入の大きなメリット」と杉原氏は話す。
ネットワーク分析を活用し、適切なレコメンドを実現
さらなる最新の分析として、東氏は顧客同士や商品同士の関連性の活用を挙げる。「KXEN InfiniteInsight」の「ネットワーク分析」モジュールを使うことで、顧客同士のネットワークを形成し、似ている傾向の人を抽出することで、ニーズの高い商品を洗い出すことができる。また、顧客同士の分析だけでなく、商品やジャンルを切り口に関連性を見ることも可能だ。
フランスの映画・動画コミュニティサイトでは、ネットワーク分析を活用して適切なレコメンドを実現。PV数や広告収入を10%前後に伸長させた。「アクセスログから200万人以上の登録ユーザーの好みを分析し、1人1人に最適なレコメンドを行いました。また、アクセスログが十分に取得できない未公開の作品も、監督や出演俳優などの作品属性から作品同士の関連性の強さを分析してレコメンドが可能なため、目に見える成果につながりました」と東氏は語る。
このように、扱うデータソースはシンプルだが精度の高い分析によって購買予測を導いたり、あるいは顧客同士、商品同士の関連性をもって適切なレコメンドを行ったりと、ただ蓄積しているだけのデータからまだまだ成果を引き出すことができる。ブレインパッドでは、「KXEN InfiniteInsight」のほかにも、データウェアハウス構築やキャンペーン管理ツールなども提供しているほか、約50名在籍するデータサイエンティストによる分析作業そのものの受託サービスも実施している。適切な組み合わせによって、まだ可能性を引き出しきれていない蓄積データを存分に活かすことで、ビジネスで目に見える大きな成果を残せるだろう。
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