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[DAC徳久×TubeMogul狩野対談]急伸する動画広告市場、これからの見通しと課題

2013年が動画広告元年と言われている理由

 ── 2013年は日本における動画広告元年という話を耳にするようになりました。これまでの約20年のデジタル広告の歴史の中で、今年が元年と言われる理由はなぜでしょうか。広告主の活用も広がってきているという話も耳にします。

 徳久:現在を第3期と捉えると動画広告が再び活況になってきていることのポイントは、米国における動画広告利用の伸び、インフラ環境変化によるユーザーの視聴環境の整備、DSP/RTBによる広告配信技術の定着化が挙げられるのではないでしょうか。それぞれについてお話させていただきます。

米国における動画広告利用の伸び

 現在、米国では急激に動画広告利用が伸びてきております。その理由としては、無料Wi-Fiの整備が進んでいることによるスマートフォン/タブレットなどでの動画閲覧環境の普及もさることながら、多チャンネル文化である米国では、特定のテレビ局が日本のように圧倒的なリーチ力を持っていないことを広告主が理解しておりますので、ターゲットに情報を届けるためにあらゆる接点を活用する文化があること、コンテンツディストリビューターが活躍できる環境が整っていることが挙げられます。これらの理由から外資系企業は日本国内でも動画広告を積極的に利用する傾向にありますので、その結果、日本企業の動画広告に対する意識の変化が見受けられます。

※ExchangeWire Japanで掲載されているこちらの記事も動画広告市場の理解に役立ちます

ユーザー環境の整備

 YouTubeのTrueView動画広告(参考記事)が始まり、広告主にとっては動画広告を利用しやすい環境が整い始めていると感じます。YouTubeのページビューは29億/月あり、ニコニコ動画(niconico)の会員数は3,300万人を超えていると言われており、捉え方によってはテレビを凌駕するメディアパワーを持っていると言えます。

 その他にも外資でDailymotionや、国内テレビ局が展開する各配信プラットフォームも存在しますし、スマートフォンなどのデバイス普及も含めて考えると、数年前に比べユーザーが動画を閲覧する環境が飛躍的に向上していると感じます。

DSP/RTBによる広告配信技術の定着化

 ユーザー環境の変化から、広告主のメディアに対する意識・評価は確実に変わりつつあります。それをビジネスチャンスとみるサプライヤーサイドが急激に市場参入をしている状況です。LUMAパートナーズ作成の「VIDEO LUMAscape」を見るとわかりますが、米国では動画広告市場にたくさんのプレイヤーが参入しています。日本でもExchangeWire Japanさんと弊社で作成したランドスケープ(「Video Landscape JP」)を見ていただくとわかるとおり、、非常に速いスピードでプレイヤーが増加している状況で今後もプレイヤーは飛躍的に増えていくものと想像します。

 また、ディスプレイ領域において定着化しつつある、DSP/RTBによる広告配信技術の普及も動画広告の普及に追い風です。各プレイヤーは現在置かれているポジションから事業領域を拡大するなどの動きを見せていますので、日々流動的にプレイヤーのポジションは変化していくと考えていた方がよいでしょう。

出典:Video Lumascape

動画広告市場成長のためには、動画制作ノウハウの普及が不可欠

 ── 2013年度の動画広告市場は150億円規模になるという予想があります。YouTube/GyaO!の広告収入はともに好調という噂も聞きますが、どの程度の規模まで伸びると見込まれていますか。

 徳久:米国の動画広告市場は約4,000億円という状況です。ディスプレイ広告全体の割合でいうと5分の1から4分の1のシェアを占めています。それと比べると日本の市場はこれから伸びる可能性が高いと考えています。少なく見積もっても10倍程度の伸びは期待できるのではないでしょうか。

 配信手段の広がりという点では、米国の場合まず動画のアドネットワークがあり、その後に動画DSP/RTBへ移行した経緯がありますが、日本の場合はアドネットワークを経ずにいきなり動画DSP/RTBの普及が進んでいます。国内のトレーディングサービスが増えている点からも、デマンドサイドの環境構築が進んでいる印象です。

 狩野:オンラインに特化した動画広告制作会社の登場も見逃せないポイントです。購買意欲向上など視聴者の態度変容をもたらす効果を高めるために、オンラインに適切なクリエイティブを配信することがキャンペーン成功の重要な鍵となります。動画広告のクリエイティブとテレビ広告のクリエイティブは、それぞれのメディアに適切なクリエイティブを配信することが必要となる場合が多いと考えます。

 デジタルの場合は、視聴者に興味がなければスキップされる可能性が高いと言えます。そこで動画広告においては、最初の5秒で視聴者にいかに強いブランド・インパクトを与えるかが重要となります。このような状況をよく理解され、効果的なクリエイティブを提供することができる制作会社が日本でも増えてきています。

 また、動画広告はユーザーの反応がダイレクトにわかるので、いわゆるテレビ広告の世界では難しかったPDCAを意識した広告運用も可能です。高速PDCAに対応するために短納期・低コストでクリエイティブの作成が可能な制作会社の登場も動画広告を利用するハードルを下げる1つの要因になっています。

 さらにスマートフォンやタブレットに対応し、スクリーンの大きさやユーザーの利用状況に合わせた独自のクリエイティブやメッセージの提供も今後増えてくると予想しております。TubeMogul JAPANをご利用いただいている広告主には、動画制作が初めての広告主もいらっしゃいますので、動画制作~配信までをワンストップで提供できる環境も整えている最中です。

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動画広告のブランディング効果を可視化

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この記事の著者

松矢 順一(マツヤ ジュンイチ)

株式会社アサツーディ・ケイ クロスコミュニケーション局を経て、伊藤忠商事株式会社情報産業部門でデジタルマーケティングを担当し、株式会社ADKインタラクティブ取締役就任。その後、楽天株式会社メディア事業副事業長を経て株式会社Tube Mogul執行役員就任。著書には共著で『次世代広告コミュニケーション』『トリプルメディアマーケティング』。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/12/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/18637

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