円滑なタグ実装のために
アクセス解析は「タグ」を計測対象サイトに実装(挿入)するところから始まります。「誰が」「どうやって」「いつまでに」タグを実装するかを適切に計画することが重要となってきます。
タグが正しく実装されていないと誤ったアクセス解析結果に基づいて不適切なWebマーケティングを続けることになるばかりか、最悪の場合はユーザーがWebサイトにアクセスできなくなることもあります。ここでは、主にタグの実装を別部門や外部の制作会社に依頼する場合を想定し、その業務を円滑に進めるためのポイントを解説します。
サイトの構成や機能を理解する
規模の大きな企業では事業部ごとにサイトを立ち上げることも少なくありません。ECサイトの商品紹介と決済プロセス、など機能によってサイトが分かれていることもあります。計測の対象を行うWebサイトのドメイン名と、そのサイトがどうやって構築されたかを調べましょう。
また、eコマースサイトの場合、決済手段によって購入完了ページが複数存在することも多々あります。「代金引換のときは計測できていたが、クレジットカード決済は計測できていない」といったトラブルを回避するため、ページ遷移が把握しづらい場合はURL単位でタグの実装箇所を洗い出しましょう。
サイト制作・構築・運用の流れを理解する
サイトの規模が大きくなると業務の分業が進んでいくため、関与するメンバーや組織が増えていきます。まずは、自社サイトが「誰に」「どこで」「どのように」制作・更新・運用されているか、その業務フローを確認しましょう。
適切な依頼先を見つける
実装するタグの種類に合わせて、適切な依頼先を見つけましょう。責任範囲の異なる担当者にタグ実装を依頼すると、その時間が無駄になるだけでなく、不適切なコミュニケーションによって業務に支障がでることもあります。
- クリックなどWebの画面操作で取得するようなタグ実装はデザイナー・HTMLコーディング担当のA社に依頼する
- ECシステムで決済された商品・会員デタベスに登録された属性情報、などWebシステムに関連する計測はシステム開発担当のC社に依頼する
また、開発済みのWebサイトを改修することになると、その工数は保守契約等の対象に含まれるのか、追加で費用が発生するのか、といったことも、抑えておくべきポイントです。
コミュニケーションを丁寧に行う
タグ実装は、他の業務の兼ね合いから後回しにされることが多々あります。また、他人が開発したプログラム等を実装することに不安を覚える人も少なくありません。そういった事情を考慮せずに無理にタグ実装を指示すると、タグの実装漏れ・レイアウト崩れ・諸機能の誤動作、など品質に関わる問題を引き起こすことがあります。
第三者にタグ実装を依頼する場合は、一方的に指示するのではなく、アクセス解析の重要性を丁寧に説明したうえで、妥当なスケジュールを納得のいくまで話し合いましょう。
実装指示を文書化する
タグの実装を口頭やメールで曖昧に指示することはトラブルの原因となるため、「どのページに」「どんなタグを」「誰が」「いつまでに」を文書化した上で指示しましょう。スクリーンショットを貼り付けておくとイメージしやすくなるでしょう。
タグの動作を検証する
タグ実装の完了報告を受けたら、タグ実装指示書に従ってタグの動作を検証しましょう。数千ページを超えるサイトでは、一つひとつを調べていくことは現実的でないため、「トップページ」「検索結果ページ」「商品詳細ページ」「購入完了ページ」など特長的なページを中心に検証を進めましょう。
検証結果は必ず記録しておき、仕様書通りの動きが確認できない場合には実装担当者に確認をとりましょう。また、Eコマース計測の場合においては、Googleアナリティクスの結果とECシステムの記録を比較するなど、多次元的に数値を検証することも大切です。
今回の連載では、アクセス解析に必要な「タグ」の動作や、「タグ」を円滑に実装するために押さえるべきポイントを解説しました。次回は、よりGoogleアナリティクスにフォーカスした内容を解説します。
