進化する顧客とのコミュニケーション
Showcase Gigの新田剛史です。連載を始めるにあたって、簡単に自己紹介を。私は東京ガールズコレクションの立ち上げ、ミクシィにおけるソーシャルアプリの黎明期など、主にデジタルマーケティングやモバイルコマースの領域でさまざまなサービスを手掛けてきました。2012年には株式会社Showcase Gig(ショーケース・ギグ)を設立し、現在は「O:der」というモバイルウォレットサービスを提供しています。
この連載では、これまでの経験を踏まえ、「O2Oからオムニチャネルへ」と題して、いま生まれつつある新たな顧客とのコミュニケーションについて、さまざまな角度から考察していきたいと思います。
O2Oはもう終わり?
MarkeZineの読者にとってはすでにおなじみのキーワード「O2O(Online to Offline)」。オンラインからクーポン等でリアル店舗への送客を行う手法として説明されることが多いと思います。O2Oの名のもとにさまざまなキャンペーンが実施されていますが、「それもO2O?」と言いたくなるようなものもあり、釈然としない方も多いのではないでしょうか。
そもそもこのO2Oという言葉、いかにも海外からの輸入品のように聞こえますが、実は米国ベンチャー界隈などではほとんど使われていないのです。シリコンバレーなどでもネットとリアルを結びつけるテクノロジーの領域のサービスは次々と誕生していますが、「決済」「インストアマーケティング」「デジタルクーポン」「カスタマーロイヤリティ」「バーコードスキャン」などそれぞれの領域を追求しており、なんとなくO2Oがムーブメントのように紹介されている日本国内とは少し様相が違っています。
かわってこの1年のあいだに注目を集め始めた言葉が「オムニチャネル(Omni Channel)」です。国内ではO2Oとほぼ同じ用途で使われることもありますが、ここにきて具体的な事例も増えており、「腹落ち感があるのはこっちのほうだ」という声も強くなっています。このあたりの事情を少し整理してみましょう。