リスティング広告運用に満足してますか?
CV、CPA、ROASなど、リスティング広告には様々な指標があります。検索連動型の広告ができてから十年が過ぎ、効果検証の仕方も工夫が重ねられてきました。しかし、満足のいく運用ができていないケースもあります。そこにはどのような問題があり、なぜ起こるのか。今、リスティング広告の現場で起こっていることを紹介します。
コマースサイトにおける、リスティング広告の重要性
小松:ソーシャルメディアが普及し、消費者は口コミをより重要視するようになっていることは周知の事実です。しかし、一連の購買行動の中で、「検索」というものは依然として欠かせないプロセスです。昨今のGoogleの検索アルゴリズムのアップデート(ペンギンアップデート・パンダアップデート)が、ウェブマーケティング界隈で大きなニュースになっていることからも、検索の影響は依然として大きなものであることが分かります。
リスティング広告は、検索に沿って網を張ることができる、ユーザー行動と接点を持つことができる手法です。特にコマースサイトでは、リスティング広告経由の売上が全体の60%以上を占め、売上の柱となっている事例もあります。ところが、実際のリスティング運用では売上をKPIとして設定し運用を行うことが主流となっていますが、利益をKPIに設定して運用ができている例は少ないのです。では実際の運用では、どのようなことが起こっているのでしょうか。リスティングがうまくいってない例を具体的に見てみましょう。
現場ではこんなことが起きているかもしれません
手島:たとえば100万円のコストをかけて、売上が1,000万円あったとします。CV数が100件とすると、CPA(コンバージョンの獲得単価)は1万円となります。広告費用の回収率であるROASも1,000%と悪い数字ではなかったとします。
ただし、コストの100万円はあくまでリスティングの原価であって、商品に対する原価は含まれていません。仮に商品原価が900万円かかっていたとすると、リスティングにかけた費用100万円と合わせて合計コストは合計1,000万円。つまり、これでは利益が出ていないどころか、人件費などを考慮すると赤字になってしまいます。
この例から分かるように、CPAやROASといった評価指標だけでは、利益がどれくらい出ているのか見えません。利益を可視化した運用ができない理由としては、各社さまざまな事情があるようです。たとえば、宣伝・広報・広告に関わる部署とシステムを扱う部署が異なることで、柔軟に利益を算出することが困難な場合があります。
情報システムが対応していない例もあります。代理店が「広告主と付き合うのは広告に関してのみ」と範囲を決めてしまっている場合もあるでしょう。代理店としては、CV数を見てレポートするだけに留めてしまった方が楽です。細かく分析をおこなうと、予算が縮小してしまう上に工数が膨らんでしまうことも多々あり、代理店側の都合で分析をやらないまたは提出しないこともあるのではないかと考えています。電通ダイレクトフォースでは、独自のツールを使って売上・利益を見据えた運用することで、この問題に対応しています。
リスティング広告からもたらされる利益の計測が重要
手島:繰り返しになりますが、リスティングは利益を計測して効果検証をすることが重要です。CV数や売上だけを見て、利益にしっかりと目を向けていなければ、気付かないうちに機会損失を被っているという可能性もあるかもしれません。投資対効果を改善するためには、利益にもきちんと目を向けることが大切なのです。これまで悪いと思っていたものが、実は良い結果を生んでいたことが分かることもありますし、またその逆のケースもあるでしょう。
リスティングは継続して実施する施策です。正しいやり方をすれば、時を経るにつれてその効果が大きな利益をもたらします。次回は具体的に数字を提示しながら、リスティング広告の現場で発生している誤解をひも解いていきます(続きの記事を読む)。
今回掲載した記事以外にも、OtoOマーケティングラボではエキスパート社員が培ったノウハウを紹介しております。ご興味ある方はぜひサイトをご覧ください。また、電通ダイレクトフォースでは現在SEMコンサルタント, AFFコンサルタントを積極採用中です。こちらもぜひご覧ください。