世界への広がりと今後の展望
3つの側面からPandoraが数ある音楽サービスの中でも、どれほど巨大なメディアになっているかを説明してきました。しかし、Pandoraって日本ではあまり一般的に知られてませんよね?それはなぜでしょうか?
PandoraはPCやスマホでどこからでも利用可能なウェブサービスですが、契約と法律上の問題で基本的にアメリカでしか利用ができません(現在はオーストラリアとニュージーランドからもアクセス可)。これは、多くのコンテンツ配信系サービスがそうであるように、国別のライセンス獲得をクリアしなければならないことから、現在Pandoraは海外からのアクセスを遮断しています。ですから、Pandoraはアメリカでは大きく普及していますが、日本やその他の国ではその知名度はそんなに高くないと言えるでしょう。

またこれまで業界を大きくリードしてきたPandoraも決して安泰とはいえません。アップルは今年9月に新しい無料の音楽サービス「iTunes Radio」を発表しました。このサービスは「Pandoraキラー」と呼ばれるほどで、リスナーの好みに合わせて音楽を自動でレコメンドしてくれる機能を持っています。つまりPandoraがやっているパーソナライズド・ラジオと同じことがiTunesやiPhoneでも実現可能になったのです。またこの分野にはグーグルも参入してきました。
さらに急成長している定額制の音楽サービス「Spotify」もパーソナライズド・ラジオ機能を開始しました。
これまでは一人勝ちだったPandoraですが、今後の音楽ビジネスの世界ではアップルそしてグーグルといった世界規模の企業と競い合っていかなければなりません。アップルやグーグルには他にない資金力とブランド力があるため、コンテンツの獲得交渉を有利にできる可能性があり、自社が抱えるエコシステムへ効果的に組み込むビジネスを作れるメリットがあります。
いま、一般利用者のウェブ利用はPCだけでなく、スマホやタブレットから家電にまで広がってきています。Pandoraが作り出した誰でも使える簡単なネットサービスのように、もっと消費者が好きなコンテンツを好きなように楽しめる新しい音楽体験が時間をかけて広がることに期待したいです。