SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

O2Oからオムニチャネルへ

オムニチャネル戦略を打ち出したセブン&アイ、
はりめぐらされた顧客接点と“ひとつのID”をめぐる戦い


ネット事業における「ワンストップ&ワンID」

 セブン&アイのネット事業を見てみましょう。1999年、ソフトバンク、セブン-イレブン・ジャパン、トーハン、ヤフーの4社が、セブンネットショッピングの前身であるイー・ショッピング・ブックスを設立。ショッピングサイト「イーエスブックス」で購入商品をコンビニエンスストアで受け取れるサービスを日本初導入しました。2007年に本格展開を開始したイトーヨーカドーの「ネットスーパー」は店舗の商圏内の顧客から注文を受け、店舗から商品を届けるサービスで、2013年2月末時点で会員数は145万人に達しています。

 ほかにもネット通販サイトを複数展開していますが、2012年7月にグループ各社の通販サイトを一本化し、グループ全社で扱う300万点の商品すべてをインターネットで購入できるECサイト「セブンネットショッピング」を構築しました。現在、そごう・西武が提供する「e.デパート」、イトーヨーカドーの「ネットスーパー」、セブン‐イレブンの食事配送サービス「セブンミール」、ベビー・マタニティ用品専門店「アカチャンホンポ」、「チケットぴあ」「セブン旅net」のサイトが集約され、サイト別だったIDも統合。「ワンストップ&ワンID」を実現しています。

 また、Wi-Fiサービス「セブンスポット」を店舗で提供し、限定コンテンツやお得なサービスで集客につなげています。2014年1月には、紙の雑誌「セブンネット生活」を無料配布。アプリをインストールしたスマートフォンを紙面の商品写真にかざすと「セブンネットショッピング」にある商品販売ページを瞬時に表示することができます。

 こうした動きにともない、先ごろグループのネット事業を担っていた2社の合併が発表されました。セブン&アイ・ネットメディアを存続会社とし、セブンネットショッピングを消滅会社とする吸収合併によって、オムニチャネル戦略推進の中心的な役割を担う会社を明確にしたのです。

オムニチャネルのその先で

 セブン&アイは、実店舗とネットの双方で事業の拡張と統合、効率化を行い、2008年ころからリアル店舗とネット店舗間の相互総客によるシナジー効果の創出を謳うようになりました。そして2013年、オムニチャネル戦略を打ち出すに至ったのです。

 「オムニチャネル」という言葉が指すものは、実店舗・自社ECを問わず、ユーザーが接触するあらゆるチャネルを購買機会・マーケティング機会とすることです。ネットショッピングが当たり前になり、その手法が洗練されるにしたがって、実店舗による小売業は旧態依然としているようにも見えていました。しかし、店舗で得られるさまざまなデータを活用できる環境が整ったいま、店舗を持つ小売業者はネット専業の小売業者とは違う可能性を追求し始めたのです。

 一見すると、ここ最近のセブン&アイの買収攻勢は、その意図がつかみにくい部分もありますが、こうした背景を踏まえていくと、セブン‐イレブン、イトーヨーカードーに加え、M&Aによりグループに加わった企業群により、幼児から高齢者に至るあらゆる消費者層を押さえる準備が整ったということはできると思います。

次のページ
ひとつのIDで、どれだけの利便性を提供できるか

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
O2Oからオムニチャネルへ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

新田 剛史(ニッタ タケフミ)

東京ガールズコレクション・プロデューサーとしてビジネス面の責任者を務めた後、2009年、株式会社ミクシィ入社。NIKEiDとコラボレーションした“ソーシャルバナー”や“mixiXmas”などのヒットコンテンツを生み出す。オンラインから店頭への送客施策においても先んじて実績を残している。2012年、株式会社Showcase Gig設立。

<受賞歴・講演等>
2007年、2008年モバイル広告大賞、2...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/02/27 14:13 https://markezine.jp/article/detail/19153

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング