コンテンツと広告が融合する着地点を探る
MZ:影広告は、技術的にはもちろんですが、どこまでを広告とするのかといったYahoo! JAPANとしての議論もありそうですね。
友澤:その点は、トップページを担当するチームと営業担当とで相当に話し合いました。やはり、ユーザーあってのメディアなので、広告として凝りすぎてうるさく感じられるのは避けないといけませんし。
足立:保守的なメディアが多いなかで、あれは特に思い切った取り組みでしたよね。企画が斬新だから、われわれのブランドチームも「おもしろい、ぜひ」と共感できる。でも、社内でいろいろと調整いただいているんだろうと思っていますよ。
友澤:確かに、コンテンツサイドと広告のクリエイティブとのせめぎ合いで、どこに着地点を持ってくるかという調整には気を配りましたね。でも、そういう議論があるからコンテンツと広告が最適な形で融合し、結果的におもしろいと思われたりクリックされたりして、広告としての完遂率が高くなる。今後のリッチアドは、こうあるべきだと思っています。
僕らは新しい広告フォーマットを自社で試すこともできますが、やはり企業と組んで世の中の反響も含めて事例をつくっていきたい気持ちがあるので、積極的に取り組んでいただけてありがたいです。
チャレンジを後押しするコカ・コーラの“70・20・10”
友澤:僕らは媒体側でありながら、広告主でもあるので、僕ですら前例がない施策は社内の説得が難しいと感じることがあるんです。その点、日本においてもグローバルで見ても、コカ・コーラは話題性があってチャレンジングな施策を次々と実施しています。そうした予測のつかないものに対する予算を取るのは、難しくないのでしょうか?
足立:コカ・コーラには、予算配分に関して“70・20・10”という考え方があります。7割はしっかり機能するもの、2割はほぼ有効だと分かっているもの、そして残りの1割は新しい挑戦に使っていい、というものです。
友澤:そうなんですか。その1割があるから、今回のような施策も決断しやすいのですね。
足立:ええ。特に最近は、これをほぼデジタル領域の取り組みに投じています。そうしないと、スマートフォンやタブレットなどのデバイスの進化や、O2O などの手法の進化についていけません。新しいコミュニケーションのインフラやメディアもどんどん出てきますし、購買チャネルやECのプレーヤーも変わっています。変化のスピードが速いこの領域についていき、またリードするには、やはり外から眺めるだけではなく、自分たちで試していく必要があると思っています。