SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

O2Oからオムニチャネルへ

アプリが「買物」という行為を変える。
デジタル化する店舗と日本企業が抱えるジレンマ

国内における店舗スマート化の課題

 USのみならず韓国においても、こういったスマートデバイスを活用したの取り組みは進んでいます。日本では、おサイフケータイなど、携帯端末を使った支払いがいち早く進んだにもかかわらず、大手小売や外食の現場では、スマートフォンの時代に即したサービスの導入に足踏みしている感があります。背景には、日本固有の事情があると考えられます。

 まず大きいのは、日本ではいちはやく電子マネーやおサイフケータイなどのICチップ認証型の方式が浸透していたことです。アップルはこの方式に準拠する方針を今のところ出さないため、iPhoneにおいてはNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)などの認証方式が使えません。ということは、光学スキャナーでスマホなどの画面上のバーコードを読み取って端末を認証する必要があります。

 光学スキャナーにおける認証方式は、一次元コード(バーコード)はもとより、二次元コード(QRコード)もはるか昔から存在しています。そのため「今さらそこに戻るのか」という議論がPOSレジ業界や大手小売り・外食企業の情報システムの現場ではよく行われています。

 実際のところ、iPhone/Andoroidの双方のユーザーを認証するには、スキャナーを使うしかないのですが、いまだに電子マネーの利用者数や決済額も伸びており、すべての課題に応えていくには、レジに両方対応できる装置を置くしかありません。これは設備投資もかかりますし、すでに米国よりも高度化・複雑化している日本の小売・外食の現場を悩ませるポイントになっています。

進化する消費者に応えられるか

 ただし、消費者が日常的に使う端末におけるiOS/Andoroidの存在感は高まっています。米国発祥のこれらの端末・OSプラットフォームが普及すればするほど、日本独自の過去の文法は通じにくくなっていきます。難しい決断にはなっていきますが、ひたすら利便性を求めるユーザーを実店舗での消費行動に落とし込むためにどのように捉えるか、何が最適な解となるか、まさに見極めが必要なタイミングに来ていると考えられます。

 重要なのは「オンラインか、オフラインか」という議論ではなく、自社に最適なオペレーションを生み出し、最良の顧客体験を提供する上で、どんな手法を取りうるのか、ということだと思います。必要がないのに無理にオンラインに投資する必要はありませんが、時に思い切った戦略を取ることも必要になるかもしれません。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
O2Oからオムニチャネルへ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

新田 剛史(ニッタ タケフミ)

東京ガールズコレクション・プロデューサーとしてビジネス面の責任者を務めた後、2009年、株式会社ミクシィ入社。NIKEiDとコラボレーションした“ソーシャルバナー”や“mixiXmas”などのヒットコンテンツを生み出す。オンラインから店頭への送客施策においても先んじて実績を残している。2012年、株式会社Showcase Gig設立。

<受賞歴・講演等>
2007年、2008年モバイル広告大賞、2...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/02/27 11:00 https://markezine.jp/article/detail/19333

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング