マーケティングオートメーションの現在
かつては、製品価値を広告などで訴求するのがマーケティングの役割だった。製品説明を行い見込み顧客に検討・購入してもらうプロセスは営業が担当。ところがいまは、価値を訴求し、見込み顧客が購入検討するところまでマーケティングがカバーすべきだ状況だ。なぜなら、6割近くの顧客は営業担当と会う前にすでに何を買うかを決めているからだ。
顧客自身がインターネット検索などで製品の詳細を調べ、ソーシャルネットワークなどから評判の情報もすぐに得られるから、マーケッターが適切なタイミングで適切な情報を発信していなければ顧客は製品を選んでくれないのだ。
このようにデジタル化によって拡大したマーケティング活動をなんとか効率化したい。それを実現するのが「マーケティングオートメーション」だ。デジタルの力を活用してマーケティング活動を自動化し、効率よく購買に結び付ける。そのために利用できる各種ツールがいま多数登場している。
大手ITベンダーの間で激化する買収攻勢
とはいえ、それらはまだまだニッチな存在であり、マーケティング実務に携わるごく一部の人しか関心を示さなかった。それが昨今変化しつつある。きっかけは、2012年12月にマーケティングオートメーション用SaaSサービスを提供していたEloquaのオラクルによる買収だろう。それ以前にも、IBMがいち早くキャンペーン・マネジメント・ソフトウェアの「Unica」を2010年8月に買収している。
さらに2013年に入り6月にはアドビ システムズがクロスチャネルのキャンペーン管理技術の「Neolane」、7月にはセールスフォース・ドットコムがマーケティングオートメーションやキャンペーンマネジメント機能を持つ「ExactTarget」の買収へと続いた。これらにより、エンタープライズITの世界でもマーケティングオートメーションという言葉が普及しつつある。
今回、これら大手ITベンダーがマーケティングオートメーションのツールやサービスを取り込み、いったいどのような戦略を立てているのか、そして各社のソリューションにはどのような特長や強みがあるのかをレポートする。