「本当の意味」での潜在顧客を開拓できるかもしれない
片桐:私自身、Genometricsに一番期待しているのは、「本当の意味で、潜在顧客層の開拓ができるようになるかもしれない」ところです。というのも、現在主流になっている「この商品を買ってくれた人は、高い確率であの商品も買っているので、レコメンド、プッシュしてみよう」というアプローチの販促には、限界があると考えています。アサヒビールさんの商品を例にしますと、スタイルフリーやオフといった機能系商品を飲んでいる人に対して、併買している確率が高いからといって、別の機能系商品をレコメンドしたとしても、同じ商品アルコール飲料カテゴリの場合、商品間のスイッチにとどまり、消費者の飲用量、すなわち、市場そのものが劇的に拡大することはないでしょう。
そのようなアプローチを取るのではなく、「機能性商品を飲んでいる人は、健康に対する“予防意識が高い”」というプロフィール上の特徴を把握することで、“予防”という価値の文脈で、グループ企業が販売する青汁を薦めて、これまで青汁を飲んでいなかった生活者に新たな製品との出会いを提供できるわけです。
元田:そうできるようになると、大きな意味がありますね。これまではアンケートなど、定量・定性的な調査を積み重ねて、潜在的な顧客像を探ろうとしていました。片桐さんの仰るようなことができるようになれば、潜在顧客像を発掘するための全く新しい取っ掛かりが手に入るかもしれませんね。生活者の日々の行動(買い物)の「結果」の「集積」という膨大な情報をもとに、精度高く、また迅速に、潜在的な機会を抽出できれば、革新的ですね。
目指すは、データ解析から販促のアイディア提案まで通貫したパッケージ化
編:今後の計画として、そうした潜在顧客の発掘に役立つような機能をGenometricsに追加する予定はあるのでしょうか。
片桐:そうですね、検討していきたいです。現状では、お客様の持っているビッグデータをインテージが解析・加工して、レポーティングする形でGenometricsのサービスを提供しています。このやり方をシステム化して、お客様が持つビッグデータを受け取ったら自動的に判別して、潜在顧客に「このカテゴリの製品を買ったことはないようですが、買ってみたらどうですか」とメールなどでレコメンドするような仕組みを作り上げたいと考えています。一連のサービスをパッケージ化して提供できるようにしていきたいです。