視聴者はテレビを見ながら何をしている?
ワイナー氏は「セカンドスクリーン」に関しても、興味深いデータを一つ紹介してくれた。それが次の表だ。
これは、テレビを見ながら使っているデバイスで「何をしているのか」を表したもの。上から
メール送信 60%/ブラウジング 44%/ソーシャルメディア 42%/ゲーム 25%/検索 23%/仕事の資料作成 15%/動画閲覧 9%となっている。
セカンドスクリーンを利用しているからといって、必ずしも該当番組について話しているわけではなく、マルチタスクを行っていることがわかる。そのため、番組側は定期的に視聴者の興味を惹き、つぶやきたいと思わせるようなコンテンツや仕掛けを用意することが大切だと述べた。
ソーシャルメディアを活用した後はどうする?
セッション最後の質疑応答では、予算取りなど具体的な話が多数あげられた。ここでは、印象的な内容を紹介しよう。
ソーシャルメディア活用の予算はどうやって確保する(上司をどう説得している)?
説得の必要はない。テレビ業界は競争が激しく、一社が何か新しいことをやりはじめたら、上層部はすぐにやりたがる。どちらかと言うと、ボトムアップではなく、トップダウンのケースが多い。実際に予算を取る際には、自分の部署だけではなく、PRやリサーチなど他部署に、どう自分達の業務に役立つかを説明し、みんなでツールや人的コストの予算をとっている。
得られた情報を元に、視聴者を増やすには?
「アフィニティ(親近感)」に関する分析を行っている。まずは自社の番組Aを見ている人が、他社も含めてどんな番組を見ているのかを確認する。その上で、どうリーチするかを考えたり、他社の番組が行なっている施策や戦略を活用したりしている。また、タレントや司会に協力してもらう事も大切。番組に関連するつぶやきや写真を上げてもらうなど、協力をしてもらう。つまり、出演者には番組への期待感を高める役割を果たしてもらっているということ。例えば、ある天気予報士は天気が悪いほど「袖をまくる量」が多くなる。だから、そこに注目が集まって、次の天気予報も見たくなる。なんと「袖専用」のツイッターアカウントができたりしている。さまざまなアプローチで楽しんでもらうことで、視聴者を増やそうとしているのだ。※著者註:この天気予報士はLonnie Quinnというかた。
また、質問のなかに「ソーシャルの理解がない人にとっては、事例のような誘導は邪魔なのでは?」というものがあった。これに対して登壇した面々は「誘導を邪魔だと感じるデータやコメントはほとんどない。逆に番組のためにアカウントをとる人もいる。参加したユーザーが拡散したことで、確保できる新しい視聴者のほうが多いと感じている。」と答えている。ソーシャルメディアの活用は、新規視聴者の獲得のために避けて通れないようだ。