IBMが主催するSmarter Commerce Global Summitは企業の経営企画、事業戦略、マーケティング/営業責任者、物流部門責任者や同社のビジネス・パートナーが一堂に介するグローバルカンファレンス。今年の参加者は4000名を超えジェネラルセッションとブレイクアウトセッションをあわせ150以上のセッションが3日間にわたって開催される。ソリューションセンターと呼ばれる展示会場も併設され、IBMと同社のビジネス・パートナーが提供する最新のソリューションに触れることもできる。
今回のイベントでIBMが掲げているテーマは「moments matter」。直訳すると「その瞬間が大切だ」というような意味合いとなるが、このテーマの背景にはマーケティング環境の変化により、顧客接点の拡大化への対応がマーケティング上の重要課題となっているが、この課題を人力で対応することは現実的に難しく、データを駆使してリアルタイムでの課題解決を目指していくことが重要だというメッセージが込められている。
初日の基調講演はIBMのエグゼクティブたちに加え、Abercrombie & Fitch(アバクロンビー&フィッチ)、メキシコの大手銀行Banorteのキーマンが次々に登壇した。最初のプレゼンテーターとして登場したのはIBM インダストリークラウドソリューションズ ゼネラルマネージャーのクレイグヘイマン氏。
同氏は今後のマーケティングを占うキーワードの1つである「エンゲージメント」について次のように語った。「顧客接点の多様化が進む中、よりよい顧客体験(エンゲージメント)を提供することが求められているが、それぞれの顧客に対して人手で対応することは不可能だ。顧客に対してきめ細かい対応をするにはテクノロジーを利用することが有効。テクノロジーは顧客体験を向上させるという新たな役割を担う状況となっており、その流れは日々加速している」
続いて、IBM ソフトウェア&クラウドソリューショングループ シニアバイスプレジデントのロバート・ルブラン氏からはマーケティングプラットフォーム「IBM ExperienceOne」のリリースが発表された。マーケターの頭を悩ませている顧客接点の最適化がこのプラットフォームを活用することで対応可能になるという。
「IBM ExperienceOne」はソフトウェアとサービスのフルパッケージのソリューションだ。IBM研究所がこれまで開発・研究してきたテクノロジーに加え、スターリングコマース(Sterling Commerce)、ティーリーフ(TeaLeaf)、コアメトリクス(Coremetrics)、ユニカ(Unica)、デマンドテック(DemandTec)、エクスティファイ(Xtify)に加え、直近ではクラウドによるマーケティング・オートメーションサービスを提供するシルバーポップ(Silverpop)といった買収済みのサービス群の統合パッケージソリューションとなり、IBM Interactive Experience チームがコンサルテーションや導入の支援をしていく。提供形態はクラウドかオンプレミスを選択できる。
発表に際しルブラン氏は「IBMがこれまで培ってきたテクノロジーと買収したサービス群の集合体である『IBM ExperienceOne』は、すべてのタッチポイントでの顧客体験の向上を支援する」と主張し会場の聴衆を沸かせた。
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