リマーケティングリストを活用してアトリビューション測定
友澤:それぞれ、詳しく教えてもらえますか?
板澤:アトリビューション効果はYouTubeのインストリーム広告と、リマーケティングリストを活用して測定しました。ビデオ広告の視聴者と非視聴者が、それぞれ「アルバイト」を検索したときにリスティング広告を表示してクリック率を取ると、非視聴者に比べて視聴者のクリック率は32.5%高いという顕著な差が見られました。これにより、ビデオ広告が明らかにその後のアクションに貢献していることが分かりました。
アンケートは、シングルソースパネルによる視聴前後の調査です。態度変容をアンケートで聞き、また同意の上でウェブ上の行動ログを取りました。結果、純粋想起率は非視聴者より視聴者が2.9%高く、サイト利用率も3.9%高くなりました。
友澤:なるほど。ビデオ広告は、まずは広告自体を視聴してもらうものですが、ビデオ広告を最後まで見た後にもっと見たくなれば、広告をクリックしてもらえるので、クリックをゴールにしないで、視聴完遂をゴールにするというアプローチが望ましいですよね。
ちなみに「ヤフオク!」でも、ブランド認知率は高いので純粋想起を獲得したいという状況にあって、その観点からビデオ広告を使い、効果検証をしたんですよね。
板澤:「フロム・エー」などと同じですね。検索する瞬間に思い出してもらいたい、という。
友澤:そうです。言い換えればマインドシェアですが、これまではテレビCMで獲得していたのが、デジタル文脈だとビデオ広告になるんだろうと。
効果測定のスキームを引き続き模索 課題は制作費
友澤:テレビCMも出稿したので、各接触者のリーチの重なりや、純粋想起率の違いなどを測定したところ、デジタルのみでリーチした人もしっかり純粋想起率が高くなっていました。
Yahoo! JAPAN インスクロールアドとテレビCM両方で広告認知されている部分はより記憶に残すことができ、重なっていない部分はインスクロールでしかアプローチできていない層なので、組み合わせることで、効果的に広告出稿ができると思います。
純粋想起率はアンケートで取りましたが、リアルタイムではないのが弱点ですよね。どんな組み合わせで効果を見るべきか、ノウハウをためながら探る必要があると思っています。
板澤:そうですね。それと、ビデオ広告は意外と成熟したマーケットに対して効果があるな、というのもやってみて感じました。新たな認知獲得より、純粋想起のリフトに注目しています。それはテレビの世界ではずっと探られてきたことですが、デジタルだとどうなのかを考える段階なのかもしれません。
友澤:商材の向き不向きもありますが、効果測定やクリエイティブが課題になって着手できずにいる企業は多いと思うので、今回の事例は参考になりました。純粋想起率を高めることに繋がる、視聴完遂されるビデオ広告の文脈を考えるというのも、大切ですね。
今回お話いただいたような、ビデオ広告の効果をどう評価していくかというのは、今後のマーケットにとって重要なポイントになると思います。最後に、今後の課題や展望を教えていただけますか?
板澤:課題は、大きくは制作費ですね。ターゲティングも細かくできるようになっているので、動画を作り分けたいのですが、そこはコストと手間次第なので、最適な方法を模索していきます。
細かくは、例えばYouTuberとのコラボも今回はさまざまな方と組みましたが、次からはキャラクターと作風がマッチする方と内容をもっと掘り下げてみたい。今後も映像を見てもらう文脈を考えていきたいです。