ユーザーの変化に合わせて、スマホ広告出稿を増加
次に、門松氏はピーチ・ジョンの広告ポートフォリオの変遷を提示した。同社は、テレビCMやカタログといった既存のオフライン施策に加えて、新しい顧客との接点を見つけるメディアとして、ネットを活用している。

「左側が以前の広告ポートフォリオイメージです。輪の大きさを投資額と考えていただければ。かつてはテレビCM、カタログ、雑誌が弊社の広告費の多くを占めていました。一方でPCや携帯電話といったオンライン広告に対する予算投資額は少ない状況でした。
それが今日では、テレビCM、カタログの効果がぐっと落ちてきました。中でも一番効果が落ちているのは雑誌で、発行部数自体が激減していることもあり、効果が厳しくなってきています。ですので雑誌の本数を3分の1程度に減らして、その分をスマートフォンやPCなどの広告費に回しています。
つまり現在の状況としては、まだオフラインの広告のほうが投資額としては多いのですが、ユーザーが接触するメディアとしてぐっと伸びているスマートフォンへの広告が比率としてはあがっています。
また先ほどのアドトレーラーも含めて、オンライン・オフラインに関わらずいろんな広告があります。その意味ではFacebookの広告も同様です(ピーチジョンのFacebook活用事例はこちら)。新しい広告媒体にも早めに取り組み、効果がよければそこを拡大させていくような戦略をとっています」(門松氏)
ピーチ・ジョンのネット広告比率は10%強
多くの企業が向き合っている課題「新規顧客の獲得」。それと同様に、顧客への企業のアプローチ手法も、非常に重要なテーマとなっている。「これからの広告業界にとって、ネット広告とユーザーのあり方は重要な課題」と亀谷氏は指摘する。
「なかなか難しい問題です。今日では大半の人がネットを使っているので、本当はネット媒体への広告費の投資はもっと増やす必要性があるでしょう。ただ、我々もリターゲティング施策を行っていますが、追い続けられることをユーザーは果たして望んでいるのでしょうか。やはりそこには限界があるでしょう。
なのでネット広告だけに限らず、それぞれの広告の目的をきちんと設定する必要があるでしょう。例えば費用対効果はうまく出ないけれども、頭の中にピーチジョンという名前を少しずつ残すことを目的にするとか。例えば、私も交通広告を続けようか迷っています。正直なところ、効果は見えません。ただ、それを止めるか否かの判断は、今見えていない効果をどれくらいに見込むかということでしょう。ただ、今のところはすぐに交通広告をやめようとは思っていません。
弊社では、カタログの制作費なども含めると、ネット広告の比率は10%強程度を占めています。もう少し増やしていきたいとは思いますが、5割を占めるようなことはおそらくないでしょう。それは先ほども述べたように、ネットだけで広告施策を展開した場合、お客さまからすると追われてる感、訴求間が非常に高まるでしょう。そのバランスを良くしていくためにも、オフラインの広告も上手に使って、ユーザー側への見え方もコントロールしながら、施策を行っていきたいと思っています」(門松氏)