ソーシャルメディアでモノが売れるのか
また、もう一人のパネリストとして登壇したのはココラブル 取締役の岡弘和人氏。MarkeZineの連載「売上直結!ダイレクトレスポンス視点のFacebook広告活用術」の著者でもある岡弘氏は、「ここ10年来、私はウェブでダイレクトマーケティングに携わってきました。ココラブルでは、ソーシャルメディアを使っていかに売上を上げるかに特化した活動をしています」と語る。

「かつてはFacebookページに集客しましょうといった文脈の中で、いいね!をどれだけ集められるのかという議論が非常に多くありました。しかし、今日ではダイレクトマーケティングの発想で売上に直結させる視点、すなわち広告の観点からソーシャルメディアを通して消費者と接点を持つことの重要性への注目が高まっています」(岡弘氏)
「ソーシャルでモノが売れるのか」かつてから議論されてきたことだが、今もなおこの課題に向き合っているマーケターは多い。これに対して、岡弘氏は「ソーシャルでモノは売れます」と力強く断言する。
「楽天はKPI文化で、数字に非常に厳しい会社です。ソーシャルメディアへの投資もROIが合わなければ、やらない判断をします。このような環境においても、ここ1~2年は投資が非常に増えています。カスタマーのソーシャルメディアでの滞在時間の急増している今、そこにチャンスが生まれているのです」(田島氏)
楽天が可視化したソーシャル会員の売上への間接貢献
Facebookページのファン、Twitterのフォロワー、LINEの友だちが増えたから何になるのか。ソーシャルメディアの運用担当者であれば、一度は持ったことのある疑問だろう。

「2年くらい前までは、ソーシャルメディアはブランディング、エンゲージメント、カスタマーとの緩やかな絆をつなぐもの、といった位置づけでした。そのため、明確なKPIを設定しにくい、かつ見えにくい状況でした。
しかし、ソーシャルメディアの活用は事業戦略の一つであり、そのゴールは売り上げだと思っています。弊社のゴールは、楽天の中の『直接流通(直接的な売上への貢献)』と『間接流通(楽天の会員増加等の間接貢献)といった経由流通を増やし、流通額を最大化することです」(田島氏)
ここで田島氏は、間接貢献の事例を提示する。「ソーシャルメディアと楽天IDをリンクケージしたカスタマーのデータ分析を行ったところ、Facebookページのいいね!を押しているファン、Twitterのフォロワー、そしてLINEの友だちになってくださっている方々は、非ファンの方々よりも、LTVが高いことがわかりました。つまり、ソーシャル会員は年間購買金額がある一定量高いことが明らかになったのです。これにより、ファン化することで間接的に売上に貢献することが見えてきたのです」