広告主はどう行動すべきか
デジタルマーケティングセンター
デジタルトレード室長 本間 充氏
本間 充氏は広告主の立場から、「業界団体でパーソナルデータに関する規制をつくって運用する。第三者機関に申請して認証を得て、それを社内でまわせるというのは、プロセスとして望ましい」と語る。
本間氏は、広告主企業の団体「日本アドバタイザーズ協会」の下部組織である「Web広告研究会」の代表幹事を務めている。これらの団体はどう対応するのか。「日本アドバタイザーズ協会」は、ルールづくりは見送る方針だと述べ、「Web広告研究会」については、ルールはつくらないと明言した。
いずれも多種多様な事業主がメンバーとなっており、立場の多様性から、一定のルールづくりは難しいと判断したようだ。
「マスマーケティングは大量の広告予算を使って全員に告知する。ピンポイントではないから、パーソナルデータはいらない。経済合理性はないけれどそれでいいのか?」と、従来のマーケティング手法への疑問を投げかける。さらに今後ますます多様化するであろう日本社会にも言及し、そうした大きな視野からも、マーケティングは変わらざるをえないとの見解を示した。
しかし、マーケティング部門と法務部門でパーソナルデータをめぐる問題を共有できているのかについては、「パーソナルデータは個人を特定できないが、ポイントできる、指し示せる情報。社内の法務部門とマーケティング部門の間では、その利活用についての話はまだかみ合っていない状態だ」と現状を説明する。
まだ日本に参入していないアドテクプレイヤーの存在
大山 忍氏
続いてモデレータの大山 忍氏は、まだ日本のアドテク市場に参入していない「データサプライヤー」について触れた。
アドテクが活用するデータは大きく分けて以下の3つがある。
・ファーストパーティデータ(CRM、POS)
・セカンドパーティデータ(メディアが保有するオーディエンスデータ)
・サードパーティデータ(購買行動データ、オンライン/リアル店舗/購買意識データ、ソーシャルメディアデータなど)
データサプライヤーはデータをクレンジングし、個人を特定できないように匿名化することによってサードパーティデータの流通を可能にする。こうした企業のいくつかは、すでに日本に拠点を設けており、今後の法改正の行方によっては、この分野の動きも活性化しそうだ。
