スマートで楽しい体験の提供を目指して
9月4日から東京 六本木で開催中のベルギービールウィークエンド(以下、BBW)は5年前にスタートしたイベント。今では年間15万人が参加する規模に成長し、今年は名古屋・福岡・大阪・仙台・横浜・東京の6都市で開催されている。会場には10タイプ64種類のビールが用意され、様々なビールを楽しめる。
来場者の52%が女性という同イベントは、ビールフリークや専門家以外の普段はビールを飲まない層にリーチできないかという考えから始まった。「いわゆるビールのお祭りではなくてもっと、ワインのように多様なビールやフード・音楽を楽しんでもらって、普段は得られない体験を提供する。そこから興味を広げてもらいたい」イベントを運営するヤンさんは語る。「そうなると、重要になってくるのが受付です。イベント会場での最初のユーザー接点でもスマートで新しい驚きを提供したい。だから、スペースを取って重たくて、面倒なことが多いレジ作業を何とかできないか考えていました」と同氏。そのようななかネット経由で見つけたのが、昨年11月にリクルートライフスタイルがリリースしたクラウドレジアプリ「Airレジ」だった。
まだ実績の少ないシステムではあったが、今年の第1回目の開催地であり最長13日行われる名古屋から導入を決定。Airレジの入ったiPadを受け付けに設置した。また、スマートフォンをかざすだけでポイントを貯めたり、使ったりできるアプリ「Airウォレット」も採用。ダウンロードすると1000ポイントがプレゼントされ、その場で現金なしで支払ができるという試みを行った。すると、狙い通り来場者からは「お、すごいことやってる!」「やるねえ」といった反応があったという。
東京会場ではさらに、カード決済のSquareも試験的に導入する。これはiPadのイヤホンジャックにセットするカードリーダを利用したもので、Airレジとも連携している。「BBWは受付で現金とイベント専用コインを交換するというシステム。手持ちのコインがなくなったらまた、コインを交換する必要があります。その際に行列ができてしまう。でも、カード決済ならスタッフを回遊させて快適なやり取りができます。現金だと危険なので難しいですが、カードなら安全ですから」とヤンさん。
イベントだからこそデータ分析が重要
Airレジの導入は新規性だけでなく、シンプルな操作による効率アップというメリットもあった。しかし、最も強く感じたメリットはデータ活用の側面だという。「イベントは開催地によって客層や売上が変わります。天候や季節によっても結果は左右されます。そのため、過去のデータを分析・パターン化して戦略を立てています。だから、今回のシステムで会計データをきちんと取れるようになったのは大きいです。しかも、リアルタイムでデータをチェックできる。これも、非常に重要」とヤンさん。
これまで、はけたケースやグラスの数を数えて、売上や来場者数を予測していたという。会場のキャパシティと人数が見合うかの調整も、これまでは受付の行列のでき具合から判断をするという、非常にアナログな世界だった。「それがすべて、リアルタイムでの数値でチェックできるようになる。主催者として、非常に安心です」
次はBeaconを使いたい
サッポロがベルギーのホワイトビールをイメージした「ホワイトベルグ」を販売し、9月24日にはキリンがオレンジ風味の「キリンオフホワイト」を発売するなど、ホワイトビールやフルーツビールが身近になりつつある。まだベルギービールが普及したと言うには早いが、確実にイベントの影響は広まっているだろう。これから、BBWでは何を目指してゆくのだろうか。
「来年はBeaconを導入して、ある場所に来るとビールの情報を表示するといった仕掛けをしたい」とヤンさん。押しつけがましさのない、自然な情報提供が理想だという。そして、ゆくゆくは印刷物で提供している情報も、スマートデバイスでチェックできるようにしたいという。「ここに来て終わりじゃなくてイベントでの体験・情報から発展して、別の場所でもビールを楽しんでもらいたい。そのために、人間同士の触れ合いとデジタル活用のバランスをとりながらアプローチをしていきたいです。そして、みなさんのライフスタイルが豊かになれば最高ですね」ヤンさんは今後の展開を語った。
イベント詳細
ベルギービールウィークエンド東京2014
開催日:9月4日(木)~9月15日(月)
時間:平日16:00~22:00、土日祝11:00~22:00(最終日は21:00まで)
会場:六本木ヒルズアリーナ
チケット:スターターセット3,100円(オリジナルグラス1個+コイン11枚)
チケット取扱い:セブンイレブン、サークルKサンクス ※会場で購入も可能です
主催:ベルギービールウィークエンド実行委員会