シリコンバレー生まれの最適化支援ツール「Optimizely」
── Optimizely(オプティマイズリー)は、タグを1行挿入するだけで簡単にA/Bテストが行えるサービスという印象です。MarkeZineのリニューアルでもOptimizelyを活用し、その有効性を実感しました。創業したきっかけ、現在の導入数など教えてください。
Optimizelyは、ウェブサイトテストの最適化支援ツールを提供する企業です。グーグルで同僚だったダン·シロカーとピート·クーメンによって2010年に設立されました。彼らはGoogle Chromeブラウザの開発に取り組む中で、数多くのA/Bテストを実行しその価値を感じていました。
ダンはオバマの選挙キャンペーンのデジタルアドバイザーも務めた人物で、A/Bテストを活用し約6,000万ドルの寄付金を集めることに成功したと言われています。おっしゃるとおりタグを1行挿入するだけで、簡単にウェブサイトのA/Bテストを実行することができます。これまでA/Bテストを実行したいとマーケターが考えたとしても、そのための準備や調整に多くの時間がとられておりましたがOptimizelyを利用すれば瞬時に実行が可能となりました。それがOptimizelyがもたらした革新的な価値と言えます。おかげさまで現在ではグローバルで8,000社以上の企業様に導入いただいております。
── ダン・シロカーさんの著作『A/B Testing』(日本語タイトル:『部長、その勘はズレてます!』,新潮社)の中で、HIPPO(Highest Paid Person's Opinion)症候群という言葉を紹介しています。データの裏付けがない意思決定を指す言葉で、ユニークだと感じましたがデータ主導での意思決定は根付いてきている状況なのでしょうか。
はい、私はそれが一般的になりつつあると感じますが、一方でまだまだ根付いていないとも思います。より多くの企業にA/Bテストを試していただきたいですね。そのためにはA/Bテストに取り組みやすいような風土を作ることが大切です。
── といいますと?
理想を言えば、まず経営陣がその価値を理解する必要があります。従業員がA/Bテストを率先して行うように奨励し、サポートする必要があるでしょう。そして失敗することを良しとする風土を作ることです。失敗は数多くのことを教えてくれます。私は多くの企業が失敗を恐れる姿を見てきましたが、失敗は最大のチャンスを見つけるきっかけでもあるのです。
A/Bテストを野球に例えてみましょう。A/Bテストでは、10回中9回目のテストまではよい結果でなくても、10回目のテストでコンバージョンレートが2倍になることがあります。ほとんどの打席が仮に凡退だったとしても、最後の打席で逆転ホームランを打ったヒーローになれる可能性があるのです。