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イベントレポート

パブリッシャーはプログラマティックにより変革できるのか。収益最大化のカギは”真のSSP”にあり


プログラマティック先進国、米国の現状から読み解く未来

 これは米国のディスプレイ広告市場に投下される金額を示した図だが、今後の推移は非常にドラスティックであることがわかる。2018年には、伝統的なディスプレイ広告がマーケットに占める割合は、20%程度に縮小する見込みだ。一方で残りの77%は、何らかのかたちでプログラマティックになるという。

 ではここから、プログラマティックを種別にみていこう。まずは「Open RTB」についてだ。これはプログラマティックにおいて一番歴史があり、最も進んでいる領域だが、年平均成長率はわずか27%になっている。その理由としては、すでに成熟し、浸透している市場だからと言える。また「Open RTB」とは異なる「Private Marketplace」は、広告主と媒体社がクローズドなマーケットで一対一でRTB取引をする仕組みであるが、全体の20%超程度を占めているという。

 次は「Guaranteed Private Marketplace」。これは年平均成長率は実に102%と、非常に大きな成長率を示している。2013年にはわずかディスプレイ全体の2%にすぎなかったが、2018年には26%にまで拡大すると予測されている。毎年広告費が倍々で増えていくということだが、その成長は、投資の効果が高くなるということから、広告主側が牽引しているという。

 そして最後に「Automated Guaranteed」。これは比較的に新しいもので、グラフからは成長率がとても高いことが読み取れる。2014年にはわずか3%だが、年平均成長率は112%の見込みで、2018年には27%を占めるまでに拡大すると予測されている。

 そしてその先に何があるのか。そこには新しいメディアの登場があるだろう。つまり、これまでプログラマティックではなかったものが、この領域に入ってくるということだ。まずはネイティブ広告があり、そしてそれ以上に大きく拡大するのテレビだ。それらのプログラマティック化は非常に大きなインパクトをもたらすだろう。

 日本のRTB市場が立ち上がったのは2011年。米国に数年遅れて立ち上がったものの、“アドテクノロジー””プログラマティック”というキーワードで語られる市場は今日では非常に活性化し、急拡大していると実感する。しかしながらその拡大を牽引しているのはデマンドサイド、すなわち広告主側であり、それに比べてパブリッシャ―側の対応は遅れ気味であることは否めない。

 プログラマティックの浸透によりパブリッシャ―が受ける変化は、単なるテクノロジーツールの導入で済む話ではない。技術的な知識を持ってSSPやDMPといったツールを使いこなし、さらにはパブリッシャ―のビジネスプロセスそのものを再構築していく必要があるだろう。今回のイベントに参加して、米国のパブリッシャ―の様々な取り組みを聞くことができたが、絶対的な解決策が確立されているわけではなく、彼ら自身もトライ&エラーを繰り返しながら模索中であった。日本のパブリッシャ―も今、動き出す時に差し掛かっているのではないだろうか。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2014/10/31 18:05 https://markezine.jp/article/detail/21249

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