インバウンドマーケティングの文脈で語られやすい
コンテンツマーケティングは、通常、インバウンドマーケティングの文脈で語られるようです。すなわち、お金をかけて広告を打つのではなく、質のよいユーザーにとって有益なコンテンツを用意すれば、ユーザーが見つけてくれてサイトに訪問してくれる、という考え方です。
これは、限られた予算の中で、リスティング広告などの広告を活用した獲得系施策を行ってきたのに、効果が薄れてきていると感じている企業や担当者にとって、喜ばしい手法です。こうした理由からコンテンツマーケティングという手法に注目が集まっているのだと思います。
更には、ユーザーに有益なコンテンツを提供する、というシンプルな施策に、コンテンツマーケティング、という名前を与えることで、社内外で企画やその予算を通しやすくなったという利点もあるのでしょう。ただ、筆者自身は、もう少し俯瞰的な視点でコンテンツマーケティングをとらえて、間口を広げてもいいのではないかと思っています。
"場やツールやリソース"≒コンテンツ
2013年8月に出版した拙著「デジタル・クリエイティビティ」では、“場やツールやリソース"を提供することでカスタマーとブランドのコネクションを作る”、と書きましたが、コンテンツマーケティングは、この"場やツールやリソース"をコンテンツという言い方に変えたものだと言えます。
実際、コンテンツマーケティングの例として挙げられるものには、ブログやメルマガやPPTスライドやホワイトペーパーといったWebサイト上での読み物的な静的コンテンツのみならず、モバイルアプリやユーザー参加型のプラットフォームやソーシャルメディアのポストなども入ってきますので、“コンテンツ”という言葉の持つ一般的な印象を超えて、様々な種類が含まれると考えた方がいいでしょう。
実際、コンテンツマーケティングをデジタルマーケティングに組み込んで活用できる可能性がある企業や担当者としては、例えば、予算があっても、その多くを広告とコンバージョンに集中して実施してきた事業主側の担当者が挙げられます。
また、広告キャンペーンで短期的な獲得系施策ばかり提案してきたが、中長期的な関係づくりの必要性を感じている広告代理店のプランナー、プレゼントキャンペーンを中心にやってきて反応が鈍っていると感じているCRM担当者、製品情報を中心にポストを構成しているソーシャルメディア運用担当者なども含まれると思います。
こうした様々な状況にある企業や担当者に、短期的な成果を求めるだけでなく、それ以前のカスタマーとの関係づくりにも地道に取り組んでみませんか? ということ提案したいと思います。