GoogleのNianticLabsが提供する位置情報を使った無料のゲーム「Ingress(イングレス)」は、現実世界にゲームのレイヤーを重ねて、ゲームのフィールドにしてしまう。人類の未来が危機に瀕するなか、「エキゾチック・マター(XM)」と呼ばれる神秘的なエネルギーがヨーロッパの科学者チームにより発見される。このエネルギーが人類に与えるものを受け入れようとする人たちを「エンライテンド(覚醒者)」、このエネルギーに抵抗し、人類に残されたものを守る人たちが「レジスタンス(抵抗勢力)」となる。それぞれのプレイヤーは「エージェント」と呼ばれる。
前者は緑、後者は青がシンボルカラーで、それぞれがエキゾチックマターを放出する「ポータル」と呼ばれる地点を訪れ、自分たちの手中に収めることがゲームの基本的な楽しみ方。ポータルは現実世界の建築物や彫刻、寺院、記念碑や個性的な店舗などをスマートフォンで写真に撮り、登録することで増えていく。さらに、ポータルどうしをリンクさせ、3つのポータルをつないでフィールドを形成し、その面積を世界規模で競い合う。フィールドを形成するために海外に飛び、現地のプレイヤーと協力して巨大なフィールドを形成する人たちもいる。こうしたフィールドはゲーム内の世界地図によって確認できる。
こうした「遠征」と呼ばれる行動は飛行機のチケット代など現実世界での支出を伴う。遠征まで至らなくても、ポータルを訪れるために歩き回ることで、飲み物がほしくなってカフェに入る場合もあれば、効率的にプレイするため自転車を買う人もいるだろう。Ingress自体に課金アイテムは存在しないが、こうした支出はIngressの世界では「リアル課金」と呼ばれる。
このように現実世界をゲームのフィールドに変えるIngressの世界に、現実のコンビニエンスストアが参画したのではないかと先週末話題となった。というのも、ローソンの店舗がいっせいにレジスタンス(青がシンボルカラーの陣営)のポータルとして登録されたからだ。
通常、プレイヤーが撮影した写真と位置情報を登録し、審査の上、登録されるポータルだが、ローソンに関してはロゴが登録されている。また、そのポータルの説明文は、Ingressの世界観にのっとった日本語と英語の説明文が掲載されている。
本来、ポータルは、彫刻や歴史的建造物などが中心であり、さまざまな登録に関する規定がある。コンビニエンスストアのチェーンが一斉に登録されたのは異例のことで、プレイヤーの間では賛否もあるようだ。ポータルとして登録すれば、プレイヤーが訪れやすくなり、飲み物を買うなど「リアル課金」による売上が期待されるのかもしれないし、ゲーム内でのロゴ表示はその存在感を示すのに一役買うことになるだろう。また、今回、ローソンは青をシンボルカラーとするレジスタンス側のポータルとして登録されたため、今後は緑をシンボルカラーとする商業施設がポータル登録される可能性もある。
ローソンからの正式な発表はないが、Ingress情報サイト「Ingress速報」では、「ローソンは、いち早くLINEの公式アカウントに参入して大成功を収めたりしているので、今回の件も納得」とコメントしている。Ingressは住んでいる地域やプレイスタイルによって多様な楽しみ方ができる。また、プレイヤーどうしのコラボレーションやプロジェクトによって、ゲーム内にひとつのゲームプロジェクトを作ることも可能なため、これからどのような展開があるのか楽しみだ。
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