3億人の顧客と1対1の関係を作るLive Nation
1対1のつながりを実現できるのは、サービス業だけではない。アメリカのコンサートプロモーターで、チケット販売も行う「Live Nation」も、同プラットフォームで顧客に個別体験を提供する。
同社には、コンサートチケットを購入した顧客など、約3億人ものデータベースが蓄積されている。住所や名前に加え、どんなコンサートに行ったか、どんな音楽を購入したかなど、趣味嗜好レベルまで把握できる。同社はこれらのデータをもとに、顧客向けの様々なキャンペーンを行っている。
大切なのは、適切なデバイス、適切なタイミングで顧客とつながることだ。例えば顧客の住んでいるエリアや趣味をベースに、開催予定の数百のイベントデータを掛け合わせ、最適な組み合わせを見つけ出し「来月、近くでこんなライブが行われますよ」といったメールを送る。もちろん、メールのみならずSNSやターゲティング広告など、様々な手法を使い分ける。
さらに、Live Nationでは自社のモバイルアプリも活用している。例えばコンサート当日には、駐車場や売店の場所を案内したり。オススメ音楽のダウンロードサイトを紹介している。チケット販売のみならず、他の情報提供や購入促進をすることで、顧客との新しいつながりを実現するというわけだ。
「Live Nationはコンサートをプロデュースする会社だが、事業の売りはテクノロジーだ。蓄積した顧客データベースを活用すれば、特定のコンサートに興味をもつ顧客を特定できる」Live Nationの経営陣は語る。システムを導入するまではデータが死んだ状態で、チケットの40%が売れ残っていたという。同社は現在、41か国15,000人の従業員がシステムを活用。アーティストのツアーが決まったとき、チケット販売が始まったとき、ライブ当日、そして終演後にファンの楽しみがライブ前後も続くよう、アプローチを続けている。「データを正しく扱い顧客が望むことを実践することで成功につなげることができた」経営陣は語る。
セッションの最後にストール氏はMarketing Cloudが既に日本語に対応し、ローカライズされていることを伝えた。日本国内の企業でも、紹介された事例のようにデータを活用してOne to Oneのカスタマージャーニーを実現することが可能なのだ。また同氏は、来年6月15~16日に世界中のマーケターが集結するイベントをニューヨークで開催することを伝えた。2015年もセールスフォースはデータ・One to One・カスタマージャーニーをキーワードに、各社のマーケティングを支えてゆく。その姿勢が明確に表れたセッションとなった。
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