ジャック・ドーシーの考える「店舗へ行く意味」
コミュニケーションはスクエア社にとって重要なキーワードだ。米国スクエア社では、店舗利用者からフィードバックを得るためのサービス「Square Feedback」が開始されている。スクエア社の決済システムを利用するとレシートの形式を紙とデジタルから選択でき、後者を選んだユーザーに「How was your experience?」という質問が送られてくる。その問いに対して、消費者はGood、Badで返答するというものだ。このやり取りを通して、悪かった場合はどこを直せば良いのかを尋ねるなど、店舗と顧客間でのコミュニケーションを実現している。

「ジャック・ドーシーは店舗に足を運ぶ意味を“消費者と店舗の間でコミュニケーションをとれること”だと考えています。店舗の顔馴染みになっていれば店員とやり取りができて、気持ちの良い時間を過ごすことができます。我々は店舗と消費者の双方が良い体験をできるようにしたいのです。フィードバック機能はまだ日本では導入されていません。ですが、今後導入されたら、店舗に入る前はカドリクで、入った後はフィードバックでコミュニケーションをとることが可能になるかもしれません」
目指すはカード決済会社からの脱却
スクエア社全体の動きに目を向けると、2014年にはデリバリーサービスを展開するキャビア社(Caviar)の買収、個人事業者向け現金前払いサービス「Square Capital」の提供などBtoB、BtoCの両方面で新たな取り組みを開始している。これらのサービスはすべて「Make Commerce Easy」の考えから生まれた商業活動をスムースにするためのものだ。現在、日本ではまだ提供されていないが、決済・分析・在庫管理・売上管理といった、レジ周りの機能は米国と近しくなってきているという。そして、今後日本への新サービス導入も期待できるだろう。
「日本ではスクエアはカード決済会社と認識されている場合が多い。我々のミッションに挙げるCommerce=商業活動は、店舗側と消費者側双方があって初めて成り立ちます。カード決済が大変なら簡潔にするし、売上管理も簡単にする。消費者側の支払や購入を簡単にする。商業活動全体をシンプルに楽にしたいと考えています。だからこそ、カード決済だけという認知から脱却して、もっと店舗の業務をフルサポートできる存在になりたい」と清水氏。
「米国では数百万のスクエアユーザーがいます。日本でもサービス開始から現在までに、数万の事業者様にご利用いただいています。今後、中長期的なスパンで数十万規模にユーザーを増やしていきたいと思います」清水氏は目標を語った。