スカウトメールの受信率は1.4倍、受信数は2.4倍
MZ:最初の、自社データのYahoo! DMP上での蓄積が、DMP活用の第一歩ですね。
石井:そうですね。ここでは、Yahoo!タグマネージャーの「Yahoo!タグマネージャーPlus」という機能を利用しました。
次に、Yahoo! DMP内でYahoo! JAPANが蓄積している検索や行動履歴、購買履歴などのマルチビッグデータと掛け合わせて分析をかけ、優良会員になる可能性の高い行動特徴を抽出しました。「サイトAのPVが多い」や「サイトBでショッピングをしている」、「○○というワードを△回検索している」などです。
それらから潜在/見込み顧客のセグメント化し、Yahoo!プレミアムDSPにセットして、広告配信を実施したという流れです。
MZ:時間軸での流れを教えていただけますか?
青山:5月末にお話をいただき、6、7月でシステムの実装やプロセスの立案などをヤフーさんと一緒に進めました。実際に広告配信したのは8月19日から9月12日の約1カ月間です。それから、その1カ月間で獲得した新規会員がどの程度優良顧客となるのかを計測しました。
MZ:そうして得られた結果が、会員全体の受信率が1.4倍、一人あたりの受信数が2.4倍だったということですね。ちなみにその際の比較対象になった既存手法での獲得についてですが、その手法は何だったのでしょうか?
青山:各種アドネットワークを活用していました。それまでも、ある程度ターゲット層の絞り込みはできていましたが、今回のYahoo! DMPのような、自社と第三者のデータを活用した優良顧客へのアプローチはできていませんでした。
社内の一気通貫の開発体制がスピード感の決め手
MZ:今回、かなりスピード感のある進行だったと思いますが、前例のない取り組みなのにここまで一気にできた理由は何でしょうか?
石井:ビズリーチさんの社内の理解があったことと、もともとインハウスの開発体制をとられていたので、動きが早かったことが大きいと思いますね。
マーケティング系の新しい施策は、企業内のマーケティング部門で「ぜひ」と返答いただいても、開発部門で急にスピードダウンしてしまうことが多いんです。そこを一気通貫で進めていただけたので、スムーズでした。
青山:マーケティング部門の中に、マーケティングチーム専属のシステム開発担当者がいるので、日ごろから連携はできていました。もちろん2カ月での開発はラクではありませんでしたが、ヤフーさんから技術面でも十分なサポートをいただけて、助かりました。
MZ:もうひとつ挙げられた、社内の理解という点は、こうした新しい施策に対してということですか?
青山:そうですね。当社は人材紹介業の会社と見られがちですが、あくまでもインターネットカンパニーです。それ故にデジタルを活用した最先端のマーケティング手法に対する啓発は社内でも常に行っていますし、積極的にトライする文化が根付いています。
特にDMPに関しては、アメリカではオーディエンスデータのエクスチェンジなども進んでおり、日本のずっと先をいっています。そういったトレンドの中で、我々が着手しないという判断はないよねと。また当社マーケティング部は、「日本最強のデジタルマーケテイング集団になる」とビジョンを掲げていますので、これからも新しい手法や施策をどこよりも早く挑戦していきたいと思っています。