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コンテンツマーケティングの現場

「タネを見つけ、膨らませ、形にする」コンテンツの切り口を見つけ、具体的な企画へ落とし込むプロセス


4つの成り立ちパターン

 FIFAワールドカップの際に提供したコンテンツでは、次の4つのパターンがありました。ひとつずつ見ていきましょう。

  1. 行動インサイトからそのまま発想したコンテンツ
  2. 各部署の思惑と使える権利を掛け合わせてできたコンテンツ
  3. メディアパートナーの特色や強みをベースにしたコンテンツ
  4. 先進的な技術アイデアをベースにして出来上がったコンテンツ
コンテンツ企画の成り立ちパターンとコンテンツ例
コンテンツ企画の成り立ちパターンとコンテンツ例

行動インサイトからそのまま発想したコンテンツ

 1は純粋にリストアップした行動インサイトを出発点に、どんなコンテンツがほしいかをアイデアを出して検討したアプローチです。

 もちろんこのアプローチで数多くのアイデアが出てきたのですが、どこでも得られるコンテンツであれば価値がないので、スポンサーだから実現できる=独占的に提供できるから価値が高い、という判断基準に最終的に2つ実現しました。

 過去のワールドカップの情報を知りたいコアなサッカーファンに対して、他では見られないアーカイブ動画を提供したコンテンツと、もうひとつは、スタジアムに訪れた記念写真を撮りたい、そして共有したい、というユーザーに「One Stadium Photo」というコンテンツです。

 このように、ユーザーのニーズである行動インサイトから出発してアイデアを出し、それを目的や競合視点で評価し実現するというアプローチは非常に一般的でハードルの低いものであると思います。

各部署の思惑と使える権利を掛け合わせてできたコンテンツ

 2は他部署と議論しながらタネが生まれた場合です。FIFAプロジェクトにおいては、このアプローチで多くのコンテンツが生まれました。CSR部とのコラボコンテンツやユーザー参加型ペイントギャラリーの「Paint Stadium」が当てはまります。基本的には、各部署にはなんらかの思惑があります。

 たとえば、会社の社会貢献を大きなイベントで人々が注目するときにアピールしたい、自分たちがグローバルでプロモーションしたい製品がある、といった思惑です。FIFAの権利は、基本的には、ワールドカップのスポンサーシップですので、オフィシャルなパートナーとしての立ち位置や実際の権利を使って、ワールドカップを楽しみにしている世界中のサッカーファンやワールドカップファンにアピールできる可能性があります。

 そのような機会と各部署が持っている思惑を掛け合わせて、なにかできないか…という議論をしていったわけです。

 具体的には、TV、スマホ、カメラ、ゲームのソフト、CSR活動、ソニーというブランド、それぞれをプロモーションしたい各部署との議論を通して、ユーザーの行動インサイトを満たしながら、グローバルにプロモーションしたいという思惑を実現するような企画に膨らませていきました。このように、ビジネスニーズとユーザーニーズの重なりあうところを探すというアプローチも一般的だと思います。

メディアパートナーの特色や強みをベースにしたコンテンツ

 3は、外部メディア企業とのパートナーシップによって実現したコンテンツです。「ファンアンバサダープログラム」(FAN AMBASSADOR)がその代表例です。

 アイデア自体は、スタジアムにいけないワールドカップファンに現場の臨場感や興奮を伝えるために、参加国代表のアンバサダーを立てて、そのアンバサダーに現地リポートをしてもらう、というものですが、多くのサッカーファンを抱えてメディアとしても機能するパートナーがいたからこそ実現にいたりました。このように外部のメディアと協力し合って企画を成り立たせることも一つの有効なアプローチとなります。

先進的な技術アイデアをベースにして出来上がったコンテンツ

 4に当てはまるのは、ソーシャルのストリームをリアルタイムに分類・表示した「One Stadium Live」というサービスです。

 これは外部のエージェンシーからの提案のあった先進的な技術アイデアをベースにしたサービスで、ユーザーがいつでもどこでも話題を知りたいという行動インサイトにこたえるような企画として具体化されました。

 先進的なアイデアであるからこそ、ユーザーに対するサービスとしての位置づけだけではなく、新しい取り組み自体によるPR効果を狙うという別の目的もありました。このように、社内外に眠っている先進的な技術アイデアやネタをもとに膨らませて、コンテンツ化していくというアプローチも典型的なものであると思います。

 さて、ここまで4つほどパターンに分けて、企画の成り立ちを紹介しました。これまで紹介してきたことはタネを見つけ、膨らませるプロセスと言えます。

 コンテンツが企画化するためには、最後の仕上げとして「整える」というステップが必要となります。別の言葉でいうと、ユーザーがほしいこと、知りたい情報にこたえていく、後にそれを具体的にブランド(企業や製品やサービス)につなげることが、最後のステップとして必要なのです。

 コンテンツマーケティングとは、ユーザーとブランドをつなげるための施策なので、単にユーザーの行動インサイトにこたえるだけでは意味がありません。

 最後の仕上げとして、膨らませたコンテンツ企画がどのように自社の企業や製品やサービスとつなげるのかを、明確化していきます。これに関しては、次回、具体的に説明します。

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MarkeZine(マーケジン)
2015/05/20 17:26 https://markezine.jp/article/detail/21762

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