興味関心がない人たちにも、自分ごと化して気付いてもらうきっかけをつくる
ネイティブアドやキュレーションメディアなど、新しい手法を積極的に活用しているコーセーだが、予算においてはマス広告が占めるウェイトがまだまだ大きいという。そこで、ウェブとテレビ、雑誌における施策の目的がどのように異なるのかたずねてみた。
「テレビCMは圧倒的に認知が目的です。雑誌はセグメントされたターゲット層にブランドの世界感を伝えると同時に、商品に対するスペック・機能の理解促進を図っていく意図があります。ウェブ施策においては、もちろん認知・理解促進という目的もありますが、不特定多数の興味関心がない人たちにも、自分ごと化して気付いてもらうきっかけをつくりたい、そしてそのことを誰かにシェア(拡散)してほしいと思っています。ブランドの世界観を崩さない範疇の中で、お客様を取り込んでいく施策にトライしています。ウェブで商品に気付いて興味を持ってもらい、店頭に足を運んでもらう。そんな行動を喚起できるような施策を行っていければ」(三島氏)

広告であっても、ユーザーに受け入れられる良質なコンテンツをつくっていく
昨今のスマートフォンの急速な普及に伴い、ヴィセの購買ターゲット層のメディア接触時間におけるスマートフォンが占める割合は増加している。テレビCMのインパクトが強い同社のマーケティング施策だが、スマートフォンというデバイスで、消費者にブランドメッセージを届けていきたいという課題や意向はあるのだろうか。
「ターゲットに合わせて、デバイスを選択するという意識はしています。これからは、スマートフォンというデバイスにおける最適な見せ方だけでなく、ユーザーが情報に接触するシチュエーションを考えた上でコンテンツの内容を考えていく必要性が増すでしょう。
『Antenna』『グノシー』『スマートニュース』は三大キュレーションメディアと言われていますが、今日では多数のキュレーションメディアが存在しており、その市場は飽和状態とも言えます。だからこそ、よりコンテンツ力が求められる時代に突入しています。いかにユーザーに受け入れられるコンテンツを作り込んでいくか。良いコンテンツであれば、たとえそれが広告であっても受けいれられるはずです。
ヴィセというブランド名の認知度はあるので、リブランディングしたブランドの世界観とコンセプトを、かつてのお客様や新たなお客様に向けてしっかりと伝えていきたい。そのためには、マス広告だけでなくウェブも含めてあらゆる手段を活用し、結果として売上につなげていければと思います」(三島氏)