データソースの多様化
昨今のスマートフォンやタブレットの普及により、デバイスごとのオーディエンスデータを得られるようになった。さらに、これらの端末からはweb視聴行動だけでなく、アプリ利用情報や位置情報が得られる場合もある。つまり、一人のオーディエンスに紐づくデータソースは増えてきている。 他にも、広告主が持つ購買履歴を含むCRM情報がオーディエンスデータに紐づくデータソースとして考えられる。このようにデータソースは多様化している。
最終回は、これまでの本連載の中では分析対象だったブラウザクッキーデータと、様々なデータを掛け合わせるとどのような事が期待できるかを紹介したい。
クロスチャネルによるマーケティングの最適化
スクリーンを横断するコミュニュケーション
同一のオーディエンスでも、PCとスマートフォンでは行動の特徴に違いがあるケースがある。オーディエンスのスクリーン別の行動に着目し、各スクリーンに適した施策を行うことでマーケティングの最適化を実現できる。例えば、次のようなケースを想定してみよう。
A氏は通勤途中にスマホブラウザでECサイトの商品検索を行い、帰宅後自宅のPCで価格を比較検討し、商品を購入する事が多い。
A氏のような特徴を持つオーディエンスに対しては、スマホブラウザでいくらリターゲティングの広告を表示しても、その広告を通じてコンバージョンを得る可能性は低い。しかし、スマホのブラウザクッキー情報と、自宅PCのブラウザクッキー情報が統合できていればどうだろうか? スマホでリターゲティングユーザーとしてマークし、自宅PCで商品の広告を表示させることで、コンバージョンの確率を高めることができる。
Webブラウザとアプリを横断するコミュニュケーション
次に、スマホブラウザでの視聴行動とアプリの情報を何らかの形で掛け合わせた時、どのようなターゲティングやメディアプランニングが可能になるか考えたい。
ある企業の商品サイトによく訪れているオーディエンスがいるとしよう。そのオーディエンスが頻繁に利用しているニュースアプリがわかれば、「そのアプリユーザーと商品は親和性が高い」と仮説立てができる。すると、当該アプリに対して優先的に出稿予算を割り当てるといったプランニングができる。
他にも、ゲームアプリの離脱ユーザーに対し、復帰を促す広告をWebブラウザ上で表示するといった施策も考えられるだろう。これは、サービス提供側がユーザーのメールアドレスなどを取得できない場合に、有効な選択肢といえる。
さらにWeb上の行動をもとに、アプリユーザーのプロファイルを分析するという使い方もできるだろう。Web上での検索・閲覧行動からは、アプリユーザーのデモグラフィックや、嗜好性について推定ができる。そこからアプリユーザーの傾向をつかめるわけだ。
クロスチャネルでのアトリビューション分析
前述したスマホブラウザ/PCブラウザ/アプリ情報の掛け合わせが実現すれば、複数のチャネルを横断したアトリビューション分析が可能になる。例えば、F2層(女性:35歳~49歳)にはスマホブラウザの広告が効果的で、M1層(男性:20歳~34歳)は自宅PCとアプリへの広告が効果的であるといった分析結果が出たとしよう。すると、ターゲットとする属性に応じて広告の出稿先を変更するなど、出稿予算配分の最適化が可能となる。