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イベントレポート

マーケティングオートメーションは目的達成の手段に過ぎない─ Marketo CEOキーノートレポート


 米国時間4月13日(月)〜15日(水)にかけて、マーケティングオートメーションサービスを提供するMarketoが、自社主催のイベント「The Marketing Nation Summit 2015」をカリフォルニア州サンフランシスコで開催している。

 マーケティングオートメーションサービスを提供する米Marketoは、自社主催のイベント「The Marketing Nation Summit 2015」を開催中だ。Marketoはリードナーチャリング、スコアリングといったいわゆるマーケティングプロセスの自動化を支援する会社として2007年に創業。マーケター向けのプロダクト提供に注力し、現在では導入社数4,000社、43か国で利用されている。2014年には日本法人も設立し、日本市場での活動も強化している最中だ。The Marketing Nation Summit 2015には世界中から7,000名のマーケティング関係者が登録。日本からも複数のパートナーやクライアントが参加している。

スポンサー企業の顔ぶれ。メインスポンサーはLinked in
スポンサー企業の顔ぶれ。メインスポンサーはLinkedIn

 14日の朝9時から行われたキーノートには、Marketo会長兼CEOのフィル・フェルナンデス氏が登壇。キーノートの中で同氏は「エンゲージメント(Engagement)」というキーワードを繰り返し強調し、マーケティングの現状について次のような見解を示した。

Marketo会長兼CEOのフィル・フェルナンデス氏
Marketo会長兼CEOのフィル・フェルナンデス氏

 「テレビ、新聞といったマス広告の時代は発信側が一方通行でメッセージを送っていました。マーケティングの中心がデジタルとなり、メール、ディスプレイ、検索連動型広告など様々な手段を使いキャンペーンを走らせるマーケティングが主流になりました。複数のキャンペーンを走らせるために自動化に取り組むなどの動きも増えていますが、結局メールはパーソナライズされないまま一斉送信、またチャネルごとの最適なコミュニケーション設計も実現できているとは言えません。顧客側から見ると、マス広告時代と同じように一方通行のメッセージを、日々大量に受け取っている状況と言えるでしょう」

 こういった状況を打破するために、同氏は顧客との対話および関係構築に焦点を当てたマーケティングの重要性を強調。それを象徴する考えが「エンゲージメントマーケティング」だ。

 「発想の転換が必要です。従来型の企業側の都合でメッセージを届けるのではなく、顧客の状況に耳を傾け、顧客の行動履歴や興味・関心に合わせて、最適なタイミングでコンテンツを届け、長期的な関係構築を実現する。それがエンゲージメントマーケティングです。エンゲージメントマーケティングを実現することで、よりよい関係を顧客と築くことができるでしょう」

目的によってマーケティングプロセスは様々

目的によってマーケティングプロセスも様々

 さらに、同氏は顧客の状況を把握することに関係して、現在数多くのマーケターが取り組んでいるカスタマージャーニー作成についての問題も指摘。そもそもカスタマージャーニーを作成するプロセスにおいては、マーケター側の都合で作成されることがほとんどで、多種多様な顧客像を正確に掴みきれないのではないかと主張した。

 「自分たちの都合ではなく、あくまで顧客の行動履歴、興味関心度合いに忠実に耳を傾け、最適なタイミングでコンテンツを届けることが重要です。マーケターに寄り添い、いち早く顧客からのシグナルを察知し、最適なタイミングでコンテンツを届ける支援ができるのはMarketoだけと考えています」

 今回のキーノートで印象的だったのは「マーケティングオートメーション」という言葉を一切耳にしなかったことだ。日本においては「マーケティングオートメーション」というキーワードに対する注目が集まっている状況だが、主要ベンダーの一つであるMarketoがキーノートで「マーケティングオートメーション」というキーワードを用いなかったのはなぜだろうか。この点に関して、ある日本のパートナーは次のような感想を漏らしていた。

 「『マーケティングオートメーション』は日本語に訳すと『マーケティングの自動化』です。マーケティングの自動化は顧客とのよりよいエンゲージメントを築くための手段に過ぎないので、わざわざ強調する必要もないと考えたのではないでしょうか。つまり、手段が強調されていた時代が一巡して、いかに目的を達成するのかという点に関心が移行しつつあると感じます。いずれにせよ、ツールはどんどん便利になっていくので、それをどう活用し何を実現するのか。使う側のスキルや能力がますます求められる時代になるのではないでしょうか」

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2015/04/16 10:38 https://markezine.jp/article/detail/22330

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