老舗デパートチェーンが取り組んだ改革
2015年3月30日~4月2日、オラクルはラスベガスにてマーケター向けのイベント「Modern Marketing Experience 2015」を開催した。およそ3,000名のマーケターが参加した同イベントでは、数十のセッションが用意され「Oracle Marketing Cloud」を活用した、最新の成功事例や知見が共有された。(イベントのキーノートレポートはこちら)
今回は「Oracle Cross-Channel Marketing(旧Responsys)」によってメール配信の最適化を行い、顧客とのコミュニケーション改善と収益向上に成功したJCPennyのセッション「Customer Targeting + Lifecycle Automation = Customer Loyalty , Marketing Results!」を紹介したい。
JCPennyは、114年の歴史を持つ米国の大手デパートチェーン。しかし、同社は売上低迷などビジネスの苦境に瀕していた。だが2014年、収益約121%増、メールでのユニークなCVR約25%増を実現した。なぜ、JCPennyは状況を変えることができたのだろうか。
同社でメール戦略のディレクターを務めるジェイソン・スコキング氏は「顧客第一の視点に立って顧客接点の最適化と、顧客ライフサイクルの自動化および、ロイヤルティー向上を行いました」と語る。その実現のために、まずは既に取り組んでいる業務の最適化を考えたという。そして、次に新しいテクノロジーを有効に取り入れる方法を探った。
組織の面では、メール配信のチーム、顧客に行動を促すプロモーションのチーム、そして顧客ロイヤルティーを高める取り組みをするチームという3つのチームを統合。マーケティング戦略を担うチームを作った。「One to Oneマーケティングを実践するためには社内での見解を統一することが重要」とスコキング氏。メールひとつとっても部署が異なれば扱いが異なる。部署の再編をすることで、一つの目標を持ってマーケティングに従事できる。
では、具体的にどのような施策がとられたのか。3つのポイントで紹介された。
- カスタマーコンタクト戦略の構築
- テクノロジーを活用したカスタマーライフサイクルの自動化
- 最適化するためのテスト
段階的なカスタマーコンタクト戦略の構築
カスタマーコンタクト戦略とは、メール配信について顧客と最適な接触を持ち、顧客にとって有益な情報提供を行うための戦略だ。同社はそのために「Oracle Cross-Channel Marketing(旧Responsys)」を活用。段階的に環境を構築していったという。
初めに行ったことが、顧客情報や、行動履歴など社内にあるデータを整理し、有用なデータを精査すること。この段階では、リアルタイム性や予測モデルは考えず、使用できるデータを集約したという。そして、データを基に季節のイベント等に合わせたメールを配信した。
当然、何らかの施策を打てばユーザーや時間帯などによって、反応の良し悪しなどが見えてくる。このように、手持ちのデータを利用して配信を行うことで、新たなデータを蓄積。それらを利用して、少しずづセグメントの調整や、顧客エクスペリエンスを害さないメール配信のタイミングの見極めを行った。
ここまで環境が整ったら、次のステップに進むことができる。つまり、ROIやエンゲージメントといった、企業視点でも効果的なタイミングを分析し、メール配信を行う。例えば、新規顧客がサービスの利用を開始した時や、ECサイトのカートが放置され、破棄されそうな時等がタイミングとしてあげられるという。そして、それらに優先順位をつけ、最適化が行われた。
把握している範囲でのメール配信のタイミングを最適化したら、まだ気付いていない有効な配信機会を探り、最適化を進める。これによって現在、同社は顧客のカスタマージャーニーに沿って最適なタイミングでメッセージを送り、より良い関係を構築しているという。