「できないことだらけ」からのスタート
2015年3月30日~4月2日、オラクルはラスベガスにてマーケター向けのイベント「Modern Marketing Experience 2015」を開催した。およそ3,000名のマーケターが参加した同イベントでは、数十のセッションが用意され「Oracle Marketing Cloud」を活用した、最新の成功事例や知見が共有された。(イベントのキーノートレポートはこちら)
今回は「Oracle Cross-Channel Marketing (旧Eloqua)」を利用し、4年をかけてグローバル規模でのマーケティング・オートメーションの構築を行った、Juniper Networksのセッション「Juniper Networks' Campaigns Go Global With Olacle Eloqua」を紹介したい。
Juniper Networksは、ルーターやスイッチなど、通信関連機器及びサービスを全世界に提供しているグローバル企業。全世界に46のオフィスと16のテクニカルサポートセンターを構え、約1万人の従業員を抱えている。しかし、2010年の時点で同社にはデータを集中管理する仕組みが存在していなかった。そのため、各拠点に施策やパフォーマンス管理は分散され、世界規模でのリードのスコアリングやナーチャリング、キャンペーンの展開などは実施できていなかったという。
一方で、BtoBバイヤーのジャーニーは進化している。従来のリード獲得から成約までのいわゆるマーケティングファネルの前段階で、サービスや商品を知ってもらう必要が出てきている。そのためにはコミュニケーションの強化や、価値のあるコンテンツの提供などが求められる。Juniper Networksは2010年時点では、その対策ができていなかったともいえる。
「2010年の段階では本当に何もできなかったのです。この状況に危機感を抱き、変革させるためのプロジェクトが始まりました」同社グローバルマーケティング及びパートナーオペレーションのディレクターであるアリサ・ウェーバー氏は4年間を振り返る。新たな環境構築を進めるにあたり、まずは取り組むべき内容を人・プロセス・テクノロジーの3つにカテゴライズし、計画を立てたという。
「時間はかかりましたが、常に人材とプロセスありきで、どのような技術を使うかを考えました。プロセスがきちんと練られていれば、自ずと技術がついてくるのです」(ウェーバー氏)
こうして、Juniper Networksの旅が始まった。次からは具体的に同社がどのような順で何を取り組んだか見ていきたい。
2年かけてシステム環境を構築
2010年から2012年の2年間はマーケティング・オートメーションの実現に向け、ベンダーのリサーチや選択、システムの実装等を行い、技術面でのマーケティング強化に努めた。様々なテストを通して構築されたマーケティング・オートメーションプラットフォームの中で、Eloquaはキャンペーンのプランニングと実行の領域を担っている。
「グローバルで統一されたプラットフォームを取り入れることで、データのクレンジングと標準化のプログラムを一元化することができました。これによって常に一貫性があり、反復性があり、拡張可能なマーケティング戦略をとることができるようになりました」(ウェーバー氏)