多くの企業が直面する課題、その解決策とは
通販ビジネスが強いとされる九州・福岡。アサツーディ・ケイ九州支社にて長らく企業の通販EC事業支援を続けてきた経験を持つアサツー ディ・ケイの本松 慎二郎氏は、同事業に携わる人が多数参加した会場に向けて、その成長の度合いを問いかける。
「ネット広告が本格化して、だいぶ時間が経ちました。私も9年ほどレスポンス系企業の状況を見てきましたが、近年、多くの企業で獲得規模も効率も鈍化している印象があります。施策はやり尽くしたけれど、CPAが改善しないという声を耳にしています」(本松氏)
多くの場合、施策として第一に取り組まれているのが「メディアの改善」。掲載面やキーワード、セグメントなどを調整してPDCAを回していけば、ある程度CPCやCPAが改善される。もうひとつは「クリエイティブの改善」。バナーやランディングページ、あるいはサイトの動線自体の調整だ。
成果が得やすいメディアの改善、そして動線の整備には労力をかけても、バナーやLPには手が回らないケースが大半だと本松氏。着手していたとしても、ABテストを繰り返してクリック率やCVR向上を模索するに留まるという。
加えて競合他社の参入や、テレビCMの露出が多い商材が強いなど、ビジネス環境の問題もある。こうした状況に、打ち手はないのだろうか? ここで本松氏が掲げるのが、今回のテーマである「クリエイティブ運用」と「データマネジメント」だ。
この2つの概念を取り入れることで、CPAにまだ大幅な改善の余地があるという。それぞれを専門とするクリエイターズマッチの呉 京樹氏、Legolissの酒井 克明氏から、自社の手がけた成功事例が語られた。
バナー・LP制作に特化するクリエイターズマッチ
2007年に呉氏が創業したクリエイターズマッチは、バナーやLPに特化した広告制作会社だ。同社の教育および審査を経た全国約200人のデザイナーを束ね、月間2000本ものバナー・LPを手がける、クラウドソーシング事業者でもある。
生活者の多様化という言葉が至るところで使われる現在、多くの企業が「ターゲットに合わせたクリエイティブで広告を配信できれば成果が高まるのでは」と感じているだろう。だが実際にはリソースや費用の面で難しく、実現に至っている例は多くない。呉氏はそうした状況に触れ、「合計本数やスピードだけでなく、マンネリ化を防ぐためにはクリエイティブのバリエーションも重要」と語る。
同社では、2015年の年初からバナー制作を担っている2社のEC事業において、大きな成果を上げている。1社は、樹脂製のカラフルなシューズで知られるクロックス。そしてもう1社が、女性には定番の着圧ソックス「メディキュット」などを手がけるレキッドベンキーザー・ジャパンだ。
クリエイターズマッチが2社に対して行った、クリエイティブの具体的な改善策は何だったのだろうか?