CTR220%アップ、CVR大幅アップを実現 その秘訣とは?
クロックスはこれまで、自社サイトに掲出するバナーを完全に内製していた。そのため、米国本社でのクリエイティブや素材を日本市場向けにアレンジする必要がある。この過程の中で、グローバルのテイストに合わせながらも日本の顧客に響くクリエイティブ開発、そしてPDCAの回転率向上が課題となっていた。
そこで、クロックスのバナーでは、過去に成果が上がりにくかったクリエイティブを踏まえて「ブランドイメージを重視した、商品の1点訴求に切り替えた」と呉氏。PDCAを高速で回して調整を重ねたところ、この半年でCTR、CVRとも向上した。同時に、メルマガで配信するキャンペーンバナーのクリエイティブも改善したところ、クーポン利用率が過去最高となり、実店舗の来店促進にもつながったという。

レキッドベンキーザー・ジャパンは、Amazonほか各種ECサイトへ出稿するバナーの本数を確保するため、複数の制作会社に発注していた。そのために、ブランドクオリティのコントロールが難しくなっていた。そこでクリエイターズマッチに制作を一任し、質を保ちながらコピーやデザインなどのクリエイティブの幅を拡大した。現在、7ブランドを合わせて月間200~300本のバナーを制作している。

呉氏は「こちらも過去の平均CTRと比べて最大220%アップしました。両社とも、クリエイティブのバリエーションとスピードアップによる効果向上に評価をいただいています」と手応えを語る。クリエイティブ運用の部分では、圧倒的な本数とターゲットへの訴求力を高める多様性、そしてPDCAの早い回転がポイントになる。
DMPを活用し「顧客の姿」を明らかにするLegoliss
一方、データマネジメントによるCPA、CVR改善では、何が決め手になるのだろうか? 朝日広告社、DACグループのモデューロなどを経て2015年4月にLegolissを立ち上げた酒井氏は、「自社データとサードパーティデータを組み合わせて、実際のターゲットを改めて精査することが重要」と強調する。
創業間もない同社だが、すでに成果が上がっている事例として、酒井氏はある健康食品メーカーの事例を紹介する。同メーカーは事業のひとつである通販事業において、初回のお試し購入を増やすことが課題だった。冒頭で本松氏が解説したように、近年この商材でも顧客獲得の成長率が鈍化。CPAに見合うメディアが少なくなり、刈り取り型の施策に偏ってしまっていた。
そこでまず、DMPを導入。自社が保有する顧客データに、DMP事業者が保有するデータを加え、お試し購入まで至ったユーザーの関心があるカテゴリや、普段の行動を分析した。「広告主企業が持つ顧客データにWeb上の行動データなどを掛け合わせることで、健康に関心がある、美容と転職情報によく接触している、といった傾向を推測することができます」と酒井氏は解説する。
お試し購入ユーザーが興味を持つカテゴリをクラスタリングし、各カテゴリごとの近さや相関に注目。これらを読み解き、具体的なターゲット像として「家族の健康に気を遣う主婦」と「仕事・プライベートも意識の高い大人の女性」の2つのターゲットを見出すことができた。
