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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

デジタルマーケティングで変わる「おもてなし」

マスとデジタルとリアルの連携、ブランディングとROI……山積する課題の打開策とは?

中間指数を最適化すれば目的を達成できる

深田:私の会社でもSprocketというリテンションマーケティングオートメーションツールを提供しているのですが、ブランディングの観点も加味して、CRMにはテレビとの接触経験なども反映する必要があると感じます。

横山:施策を評価するときは、売上など最終的なゴールだけを見るのではなく中間指標を設定するといいでしょう。例えば以前、ある企業のサービスサイトのPVと実店舗への送客数の相関を調査したことがあります。PVが増えると、きちんと送客数が増える結果がでました。ここから、中間指標であるPVを最大化するための施策が必要だとわかります。

 今の時代は広告のGRPと売上だけでは相関が見えにくいですが、PVという中間指数を用意して、そこを上げるように最適化すればいいわけです。つまり、中間指数が最後の目的変数と相関すれば、最適化しやすいのです。

深田:中間指標をKPIにして施策をまわしていくということですね。ですが、数値を見て次のシナリオに落としこめる人は少ないのではないでしょうか。

横山:データドリブンなマーケティングの世界では、データを読めるデータサイエンティストが必要です。一方で、セグメント化された人達に最適化したコンテキストでシナリオ策定するには、マーケティングのセンスが必要です。この2つの視点をいかにかけ合わせられるかがカギになるかと思います。

 現実的な方法は、ツールを活用しながら2つのスキルの練度を上げることかもしれません。例えば、Sprocketはあらかじめ用意された施策を試して、改善してという流れが作れるので、施策設計に慣れていない人でも利用が可能ですよね。

深田:ツール活用という視点では、将来的にシナリオ設計は自動化できると思いますか。

横山:いずれはできるでしょう。しかし、今の段階では人間の勘所が必要ですね。試し打ちで100回外すのではなく、2割くらい当てる人がいないと先に進めないし、経験値も溜まらない。

最適なタイミングで1 to 1マーケティングが実現できる時代に

深田:マーケティング活動では、クーポンや懸賞などの金銭的インセンティブを提供する施策があります。ですが、このような方法はフックにはなっても、濃いファンの育成にはつながらないと考えています。ですから、この風潮を変えていきたいと思っています。この点はどうお考えですか?

横山:クーポンも消費者のタイミングとコンテキストに合えば有効だと思っています。インセンティブには、金銭的なものと心理的なものがあります。同じ人でも金銭的なものが効くときと、心理的なものが効くときがあります。その見極めを行えばいいのです。

 ビッグデータで消費者の反応を見れば、兆しがわかり、その人のベストなタイミングでコミュニケーションすることができる。みんなに一斉ではなく、個別の1to1マーケティングがいよいよ技術的にも実現できるようになった。タイミングを合わせて適切な施策を打つことができると思います。

 例えば、従来ビデオカメラのキャンペーンは、春の卒業・入学シーズンと、秋の運動会シーズンの年2回行われていました。ですが、一方で面白い事実があります。実は、1年を通してネット上でのビデオカメラの検索量はほとんど変わらないのです。

 送り手は春と秋というタイミングで購入ニーズが高まるものだと考えていますが、実際には結婚式や子どもの出産など個別の需要がある。これはほんの一例ですが、そろそろ、買い手と提供側のギャップを意識して、需要のタイミングに合せて施策を打つスタイルにシフトしたほうがいいと思います。

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ブランド横断的な施策を可能にする組織再編の必要性

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この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

深谷 歩(フカヤ アユミ)

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役
ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、講演活動、動画制作も行う。またフェレット用品を扱うオンラインショップ「Ferretoys」も運営。深谷歩事務所公式サイトhttp://officefukaya.com

著書に 『小さなお店のLINE@集客・販促ガイド』(翔泳社)/ 『SNS活用→集客のオキテ』(ソシム)
『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』(翔泳社)/ 『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/07/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/22675

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