テレビCMとオンライン動画、最大の違いとは?
ではなぜ、テレビCMのクリエイティブがオンラインで十分通用しないのでしょうか。この問いに答えるには、オンライン動画に取り組む上で必ず理解すべき、2つの点を理解する必要があります。
テレビCMとオンライン動画広告は、映像という表現手段を用いるという点では共通ですが、実は視聴者の広告接触体験が2つの背景から大きく異なっています。
Lean ForwardとLean Back
1つは、オンライン動画を視聴するデバイス(PCやスマホなど)は「Lean Forward(前のめり)」に利用するメディアと言われています。一方、テレビの視聴は、ソファーや畳の上でリラックスしながら、くつろいだ姿勢で視聴する傾向がある「Lean Back(後ろにもたれる)」なメディアと言われています。
PCやスマホでの視聴の際にユーザーは画面を注視して、常に必要な情報と不要な情報を振り分けながら利用し、テレビは一方的に情報を受動します。つまり、ユーザーの視聴態度がまったく異なります。


スキップの可否
2つ目は、オンライン動画は「Skippable(スキップ可能)」です。テレビCMの場合、リアルタイムでの視聴においてはCMを視聴する必要があります(もちろん目をそらす、トイレにいくなどはできますが)。 しかし、多くのオンライン動画広告においては、「スキップボタン」が付いていたり、スクロールで飛ばして無視する、といったことが可能となっています。

このような背景からオンライン動画においては、広告閲覧の主導権は基本的にユーザー側にあり、必要ない、興味を持たないものであれば、簡単にスキップできてしまいます。言い換えれば「自発的に見たくなるクリエイティブ」でなければ、生活者に何の印象も残せない可能性が高いと言えるでしょう。
つまり、従来の広告がややもすればどこに出すか(配信面)重視だったとすれば、オンライン動画はよりオンライン上の生活者が求める表現(クリエイティブ)を重視し、考え抜くことが必要になると言えます。

今回は、オンライン動画が必要とされる背景と、動画マーケティングに取り組む上で前提として理解しておくべき、前提条件についてに説明しました。これを踏まえつつ、次回はオンライン動画の使い分け方について考えていきます。