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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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マーケティングオートメーションの真の運用は、本質の理解から始まる。(AD)

現在のマーケティングオートメーションに潜む落とし穴~今の運用・設計に足りていないのは「営業の知識」

ダイヤの原石をムダにしてませんか?

MZ:ここまでBtoBの営業に近い例を多く挙げて頂きましたが、BtoCではいかかですか。

安部:リード管理ができていない、という点ではBtoBでもBtoCでも同じかと思います。BtoCでも、例えば結婚相談所が資料請求や問い合わせのCPAが1件当たり10,000円で、月間でリードを1,000件集めているとします。そして資料請求・問い合わせから来店する人が200人だけだった場合、残りの800件を放置すれば毎月800万円損している計算となります。どこの会社もこの800件の見込み客に対して、色々な仕掛けを打っていますが、まだまだメール一斉配信の延長のような施策が多い印象です。顧客の行動に基づき詳細に設計したセグメンテーション・ターゲティングにより、案件を引き上げていく動きが取れている会社は少ないのが現状です。

 先述の新規訪問、そして結婚相談所の例でも同様ですが、どちらも何かしら興味をもって問い合わせしてきている、ある意味ダイヤの原石ともいえます。従って本来であればこちらを磨き上げる、つまり見込み客として育成した方が、新規顧客獲得に費用をかけるより断然効率がいいはず。ただ現在は「マーケティング=広告=新規獲得」である会社がほとんどなので、ダイヤの原石を集めることへの投資がメインになっています。もちろん、新しくダイヤの原石を集めることも重要ですが、それ以上に今持っているダイヤの原石をいかに磨いていくか=見込み客の育成が重要なのです。これまでは“ダイヤの原石の発掘=新規獲得”に偏って費用をかけるケースがほとんどでしたが、今後はより“ダイヤの原石の研磨=見込み客の育成”へ予算投下の比率を上げていくべきなのです。

MZ:まさにダイヤの原石を磨き上げる役割を持っているのがMAというわけですね。

安部:その通りです。10万件の失注リストがあるなら、10万人の営業マンが常に状況を把握すれば他社に取られるのを見逃しません。10万人の営業マンを雇える企業は存在しないに等しいですが、その機能をMAに代替させるのは十分可能だと思っています。

営業の知識がないと、良いリードの定義がわからない

MZ:今のMAがメールマーケティングツールにとどまっているというお話もありました。これを踏まえると、とてもMAが10万人の営業マンを代替できているとはいえないと思うのですが、その実現にはどういった設計が必要になってくるのですか。

安部:現在、他社のMAを活用している企業様と話をする中で、「マーケティング」と「テクノロジー」に関する知識がしっかりしている会社は多いなという印象があります。しかし1つ重要な知識が欠けていると思っていて、それは「営業」の知識です。

 例えば10万件あるリストを「業界は不動産」「役職は部長」「予算は月間1,000万円」という3つの重要ファクターで2,000件に絞ったとします。この2,000件のリストに対しMAを活用してメールを送り、そこから問い合わせやセミナーへの参加などでリードが獲得できた場合、そのタイミングでMAは営業に渡します。では、このリードははたして良いリードだったのでしょうか。良いリードの定義は組織によって違いますし、タイミングも営業の気持ちにならないとわかりません。

 この良いリードの定義を含めた“営業とは何か”がわかっていないと本当のMA実装には繋がりません。例えば「営業には工数をかけたくないから、受注までの訪問を1回で済ませたい」とナーチャリングの期間を長くするケースもあれば、「問い合わせがあれば全て行く」という場合もあるでしょう。この部分が抜けるだけで、先述のように営業部とマーケティング部の間で溝ができてしまうのです。

次のページ
営業を巻き込んだ実装のコツとは

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/11/17 14:00 https://markezine.jp/article/detail/23346

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