スマホ利用が7割を超えるクックパッド、広告を魅力あるコンテンツに
そして、女性がユーザーの大部分を占め、スマートフォン利用が7割を超えるというクックパッド。沖本氏は「食品などの日常消費財は一般的に非計画購買、すなわち“衝動買い”が8割とされる。そこにネット広告が影響を与えられるかもしれない」と前置きし、動画を流した。

売り場の店員が「その日のおすすめ商品」をスマホから掲載すると、消費者がレシピとともにその「おすすめ商品」を見て、「その日」の買い物に出かける。つまり、クックパッドはこれまで折込チラシで提供されていた情報を、スマホから見れるようにして、消費者に働きかける仕組みを提供するというわけだ。また店員は店頭で利用できる販促ツールをダウンロードして、スマホを見て来店した消費者向けに活用することができるようにした。沖本氏は「女性の就業率が高まる中、夕方は忙しい時間帯。そこで広告をコンテンツ化して魅力あるものとしてリアルタイムで提供することが鍵になる。それが成功すれば、“店頭”から“移動中のスマホ”に買い物の意思決定のタイミングが移行するだろう。このテストケースでは来店数や購買数が15~20%程度上がった」と効果を強調した。
「ユーザーに受け入れられる広告」とは
それぞれにスマホ広告にアプローチし、成果を上げている3社だが、課題に感じていることはないのだろうか。その質問に対して、筆頭で資料を上げて答えたのが林氏。ニールセンの調査によると、平均1時間48分というスマホ利用時間の中で、ウェブブラウザの利用は4分の1程度、それ以外のほとんどがアプリを介した情報利用になっているという。つまり、スマホにおいてはネイティブアプリ上でいかに接触できるかが重要であるということだ。

マーケティングソリューションチーム マネージャー 林祐太郎氏
さらに林氏は「iOS9で広告のブロック機能が搭載されるとなり議論を呼んだが、“ウザい”広告をユーザーに配信したくないというデバイス側の意図が反映されたものではないか」と語る。そうなったとき、メディアも『ユーザーに受け入れられる広告』を考え、提供することが求められる。LINEのスタンプはその模索の1つなのだという。
また、赤星氏は「ダイレクト広告は増えているが、一方でブランド広告に関してクライアント側の認識が醸成されていないこと」を課題として上げる。テレビとの比較でも予算枠はわずか5%。ブランドを告知するよりも、ダイレクトにコンバージョンを求める傾向にもある。とはいえ、スマホの小さな画面内にユーザーが見たい情報と広告を盛り込むのは難しく、ヤフーとしても試行錯誤中だという。沖本氏も「広告の価値観の中で、生活者の価値をいかに高めるかは大きな課題。サービスとしてのコンテンツとの両立がに向き合っている」と語る。