NewsPicksの活用でPVを数百倍に
押久保:次のテーマとして、スマホシフトにあわせた広告フォーマットが出てきています。代表的なのはネイティブアド、あとは動画広告ですね。最初にネイティブアドについて、大和ハウスさんが「NewsPicks」を活用した取り組みをされているので、その話を伺います。

大島:「NewsPicks」は、スマートフォンアプリをメインとしたニュース共有サービスです。その中で今回活用したのが「ブランドカテゴリー」という広告商品です。通常ニュースアプリには、テクノロジーや政治経済といったジャンルがありますが、そういったカテゴリーを企業が作ることができます。
弊社の場合は「資産マネジメント」というカテゴリーを作り、関連したコンテンツをピックアップしたり、弊社がコンテンツを作成し掲載しています。オウンドメディアでコンテンツ配信するのに比べ、PVが数百倍に上がりました。現在は、ここでいかに認知度を上げるかを重視しています。
押久保:今の段階での送客効果はいかがですか。また、コンテンツマーケティングは刈り取りまでの期間が長く、費用対効果を測りにくいといわれることもあると思うのですが、そのあたりはどうでしょうか。
大島:送客は想像以上の効果がありました。ただ、ここで直接商品紹介をしているわけではないので、顧客獲得はそこまで望めないと思っています。しかし、今回の目的は、住宅メーカーのイメージが強い弊社が、BtoB領域で土地活用や物流、医療介護施設など様々な事業をしていることを理解してもらうというのもあります。
YouTube広告、パーソナライズド動画…新たな可能性
押久保:ありがとうございます。今度は動画活用に関してお伺いしたいと思います。上森さんはYouTubeのTrueView広告専用の動画をいくつか作成されていますが、背景を教えてください。
上森:この夏、キャンペーンの一環としてTrueView広告を活用したプロモーションを実施しました。その際、せっかく投下するのだから、絶対テレビではできないクリエイティブにしたいなと。そこで、TrueViewの特性に合わせて最初の5秒でみせてそのまま視聴完了する構成の動画を制作しました。リーチや購買への影響など、満足いく数字が結果に表れました。特にインクリメンタルリーチ(TrueViewによるリーチの増加分)は、年齢が若いほど高い傾向がありました。
押久保:マスとは全く違うもの、TrueView用にカスタムすることが有効なのでしょうかね。もう一つ、動画活用に関してダイワハウスでも面白い取り組みをしていらっしゃいますね。
大島:弊社が取り組んだのは、GWに住宅展示場への来場を促すため、メールマガジンにパーソナライズした動画を組み込んで配信しました(参考記事)。例えば、動画の中に表札が出てくる場面があり、その表札がメールを受信している方の名字で表示され、ナレーションの音声も変更されています。従来のメールに比べて開封率は1.9倍になり、60秒の動画ながら完全視聴までいった方は75%以上でした。60秒の動画の完全視聴がここまで高いのは、珍しい事例かと思います。

また、動画に関するアンケートを実施したところ、動画を見て展示場に行きたくなったか聞くと、「YES」と6割くらいの回答がありました。メールアドレスしかわからなかった会員に至っては、配信後に住所などの情報登録が多くあり、普通の施策よりもリードの取得単価が大幅に下がりました。
押久保:表札に名前が書いてあるのが、すごくいいアイデアだなと思いました。受け取った側が、自分事として捉えられますね。今回の取り組みはまさにパーソナライズの真髄といえるのではないでしょうか。