変革期を迎える金融業界、YouTube Redは何を変えるか
金融サービスは変革を迫られる
iOSのファイナンスアプリは着実に成長してきたが、多くはバンキングアプリによるもので、「フィンテック」アプリの普及はまだ初期ステージにある。

しかし、銀行はいずれ、主な収益源をフィンテックの新興パブリッシャーに狙われ、中抜きの脅威に直面すると考えられる。実際にTransferWiseの送金サービスやWeSwapの外貨両替、Wealthfrontの資産管理などのアプリ利用が増えている。2016年はこうしたアプリが、透明性の向上、取引コストの低下、消費者認知の向上によって大きく成長することが考えらえる。
tvOSにより、スマートフォンのセカンドスクリーン化が加速
Apple TVのSDKであるtvOSの登場により、サードパーティーがアプリを制作できるようになった。2016年はゲームと動画のストリーミングアプリがその先頭に立つとみられる。新しくなったApple TVの最大の価値は、スマートフォン等をセカンドスクリーン化することにあると考えられる。まずは画面上のコンテンツの関連情報を表示することから始まり、いずれは「コンテクスチュアルコマース」やターゲティング広告へと進展すると予測される。
YouTube Redがインディーコンテンツを拡大
YouTube Redは、YouTubeの有名人たちと提携してオリジナルのシリーズや映画を制作することで、新しいコスト構造を開拓しようという試み。長編インディーズコンテンツは、若い視聴者、とりわけ、すでにYouTubeの有名人やブランドに親しんでいる層を引き付けると考えられる。まだ開拓の余地があるセグメントを狙うことで、YouTube RedはOTT動画ストリーミング(※)の市場を拡大すると思われる。
OTT:over-the-topの略。通信事業者やインターネット・サービス・プロバイダーに頼らず、インターネットを通じて提供されるコンテンツを指す。YouTubeやNetflixなど
ウェアラブルは特化型および企業向けに
ウェアラブルのアプリ開発は、さまざまなカテゴリーに分散している。

今後、消費者向けアプリ開発の焦点は、スマートフォンと重複しない用途や、スマートフォンが最適な選択肢ではないフィットネスや健康管理などの特化した用途に移行すると考えられる。さらに、ハンズフリーでの操作が求めらる法人などへの導入が、2016年には増えるとみられる。この場合、エンドユーザーは、工場の作業員や、倉庫や現場のスタッフなどが考えられる
ARとVRはさらに過熱
Oculus Rift、Gear VR、HoloLensがAR/VRプラットフォームの基準をいち早くもたらしてくれると考えられる。AR/VRデバイスは。はじめは没入的なゲームに使用される可能性が高いが、将来的にはコミュニケーションやメディア消費といった現在の「リーンバック(※)」デバイスの用途も吸収すると予測される。
リーンバック:Leanback「後ろにもたれる」の意。テレビ等ソファなどに座りゆったり楽しむ姿勢を指す。