気になるカテゴリーやキーワードを深掘する
2ページ目に掲載した図を例に述べると、キーワードに関する生の声を丁寧に読み、カテゴリー分けする。例えばブランドの訴求がうまくいっているかどうかを調べる時、そのカテゴリーの中には下記のようにCMというカテゴリーが作られる。

このカテゴリーの中にはCMには使用しているタレント、キャッチフレーズ、イベントなどの要素がある。例えば、表1右の「18日」というキーワードは、そのブログを読んでいくと(ブログクチコミサーチでは関連語をクリックする事で生の声を読むことができる)10月18日に行われた白ツバキのCM発表会に関する話題であることがわかる。このようにして、どの話題がどれくらいの量あるのかを見て取れる。
さらに、このような名詞と、別の品詞、例えば形容詞と紐付けることで、その中でどの要素がどのように消費者に印象を与えたかについて深掘して調べることができる。
例えばエッセンシャルでは、名詞「エッセンシャル」と形容詞「可愛い」が同時に語られているブログを調べた結果、CMが始まった半年間、つまり2006年8月~2007年1月は南海キャンディーズのしずちゃんがもっとも多く語られていることがわかった。そこから「毛先15cm」や「可愛キャラ診断」が続き、CMで共演している山崎トオルは「しずちゃん」の12分の1程度の書込みであった。
ちなみに「可愛キャラ診断」はサイトを訪れた消費者が様々な質問に答えたり、いくつかの選択肢から自分に合うモノを選び、自分が例えばどの髪型が合うキャラクターなのかを見つけるという、前回『黒烏龍茶 ヒットの軌跡をブログで検証』で述べた、「診断系」である。最近半年間(2007年6月~2007年11月)をクチコミサーチを使って調べてみると、「しょこたん」と「しずちゃん」の二人がこの「可愛い」という印象を引っ張っているようだ。
このエッセンシャルの「可愛い」という印象を作るのに1年以上貢献し続ける、しずちゃん。CMの女王と呼ばれる仲間由紀恵、篠原涼子と比べると、ブログで書かれている量は多い順に篠原涼子、仲間由紀恵、しずちゃんとなるが、「可愛い」という言葉と共にブログで書かれている量は、多い順にしずちゃん、篠原涼子、仲間由紀恵となる。その理由について考えてみる。

実際にはどう考えても篠原涼子や仲間由紀恵の方が可愛いのに、しずちゃんの方が可愛いと話題になっているのは、かつて筆者が栄養補助食品で調査した時のパターンが参考になる。例えばケーキが美味しいのは当たり前だ。一方で栄養補助食品に美味しいというイメージはなく、むしろ多くの消費者には不味いというイメージがある。だからこそ、その栄養補助食品が美味しければ、それは話題になる。
それを踏まえて考えると、可愛いのが当たり前である仲間由紀恵、篠原涼子より、「可愛い」という話題の量においても、カワイイをつくるの「つくる」に焦点を当てる意味においても、ブランドイメージ訴求におけるしずちゃんの起用は成功と言えるかもしれない。ちなみにブログクチコミサーチを利用して、時間軸で見てみると、映画やドラマ、CM、バラエティ番組を通じて2年半の間ずっとしずちゃんは可愛いと語られ続けている。