ブランド調査はこう行え!
では、ブランド調査はどのように行えば良いのか? そのブランドにおいて、人が読める範囲のブログエントリー(400個程度)であれば、それを全て読み、内容を様々な視点からExcelなどにカテゴリー分けし、分析を行えば良い。人が読める範囲を超えた大量のブログに関するブランド調査は、テキストマイニングのソフトやサービスに頼ることを勧める。ここでは、ブログクチコミサーチを用い、以下の3つに視点を置いた調査方法を解説する。
形容詞や名詞を比較することでブランドイメージをつかむ
そのブランドが消費者にどう受け止められているのかは、消費者がブログに書く日記の文中に出てくる名詞や形容詞に注目すれば良い。
名詞を見る
例えば、資生堂TSUBAKIに関する消費者のブランドイメージをつかんでみよう。連載第2回目で使用した 下記の図を見て欲しい。これは2006年10月までの半年間における資生堂TSUBAKIと花王アジエンスを比較したものだが、消費者の感じる資生堂TSUBAKIと花王アジエンスの大きな違いは「CMについて多く語られているか?」と「商品について多く語られているか?」であろう。

さらに、その時期の資生堂TSUBAKIのCMに関して詳しく見てみると、SMAPの「Dear WOMAN」という曲と豪華な女性タレントがその中心となっている(表1左)。この記事を書いている2007年11月現在も、SMAPのCM曲は話題の中心からは外れたものの、豪華な女性タレントが多く語られる傾向は変わらない(表1右)。

多く語られる女性タレントが、荒川静香、香里奈、黒木メイサ、吹石一恵から、蒼井優、すみれ、仲間由紀恵、観月ありさに変わったくらいである(表1左右)。ちなみに竹内結子は両時期で多く語られていることがわかる。資生堂TSUBAKIに関するブランドイメージは「豪華な女性俳優の起用」というのが大きな軸となっていそうだ。このように比較することで、ブランドイメージがどのように差別化されているか、また長い時間の中でどう変わっているかが見えてくる。
形容詞を見る
下記の図を見て欲しい。これは「カワイイをつくる」キャンペーン以前のエッセンシャルとそれ以降のエッセンシャルのイメージの比較である。エッセンシャルの公式サイトを見ると『エッセンシャルは新発想のダメージケア。ダメージを補修しながらも、ヘアスタイルのトレンドに応じた、なりたい髪の仕上がりを実現します』と書いてある。

それを一言で表現したのがエッセンシャルのキャッチフレーズ「カワイイをつくる」であろう。「カワイイをつくる」キャンペーン以降、エッセンシャルの書込み(言葉の出現頻度)は5倍程度増えている。そのうちポジティブな形容詞をピックアップすると、「安い」「可愛い」「好き」「良い」に分けられる。このうち「良い」「可愛い」が形容詞の中でもっとも増えており、キャンペーン前の約7倍の書込みとなっている。
このキャッチフレーズ「カワイイをつくる」が、消費者の最近のエッセンシャルに関するブランドイメージに浸透していることが示唆される。ちなみにCM以前に比べ、CM以降の方がポジティブな印象は10%程度増えている(ブログクチコミサーチよる検証より)。