有名(?)なネットキャンペーン
以前、自分のブログでも紹介しましたが、筆者の周囲では「Nike Cosplay」(下記の動画)を見たことがある人はごく少数(33%)でした。サンプルが少数(89名)で、かつ偏っている(筆者の周辺な)のは認めますが、世間一般と比較すると、筆者の周囲にはこういったネットキャンペーンへの感度が高い人が多いので、きちんとアンケートを取ればもっと少ない認知率になると推測できます(お金もないし、ネタとしても古くなったのでやりませんけどね)。
このキャンペーンは「第5回東京インタラクティブ・アド・アワード」のグランプリを受賞しています。たしかに、この動画はよく作りこまれていて、筆者も初めて見たときは楽しいと思いました。
ただ、マーケティングを考える者として、筆者が気になるのはこれが売上にどのくらい貢献できたのかという点です。実際どうだったのでしょうか。今年の春に行われたセミナーイベントで担当者の方が「NIKEiDの売上が倍増した」とおっしゃってたのですが、元の売上額がわからないと判断できないのと、世界的企業であるナイキのビジネス規模に見合っていたのかが気になります。
あるいは日本でのブログ炎上事例としてたびたび紹介されている、ソニーのウォークマンのブログマーケティングはどうでしょうか。このキャンペーンブログはいまから2年前、2005年11月にオープンしました。しかし、その内容が「やらせ」ではないかという指摘(そして炎上)を受け、3日で閉鎖しました。
この事例は、USでのウォルマートの「やらせ」ブログとあわせて、ブログマーケティングの悪い例として各所で取り上げられています。筆者もこのような「やらせ」ブログはいけないと思います。しかしこの炎上がウォークマンの、そしてソニーの売上にダメージを与えたのかというと、それほどではなかったのです。少なくとも短期的には実売に影響はありませんでした。理由は単純です。テレビなどのマスメディアが取り上げなかったからです。
そういう意味では、最近起こった吉野家のケースとは異なります。吉野家の対応が最善だったのかはさておき、あそこまでオオゴトになったのはテレビや新聞がニュースとして扱ったからです。通常、ネットの一部で話題になっているだけでは世間的な影響はありません。
これは「ネットクチコミでモノが売れるのか」ということへの回答にもなっています。筆者は昨年末から1年間、WOM勉強会(クチコミマーケティング勉強会)を主催してきましたが、到達した結論は、クチコミは意図的に起こせない、あくまでも結果論に過ぎないというものです。もし意図的に起こすならば、テレビの力を使うしかありません。