事前の設計に基づいて自動アップデート
――先ほどはインフラ面での話が主でしたが、マーケティングのプラットフォームとしてはどうでしょうか。
八木:特に機械学習を簡単に利用できる「Azure Machine Learning」(以下、Azure ML)は魅力的な機能ですね。達成したいKPIや分析すべきデータの設計を事前に行えば、設計したルールに基づき分析や施策にアップデートを自動的に行えますからね。
ある教育会社でWebサイトの改修を行う際、現状分析でユーザーは大きく3パターンに分けられることが判明しました。そこで3パターンのユーザーにあったシナリオを設計して、アプローチしたところ、CVRを2倍まで引き上げることに成功したんです。
ただ、セグメントの切り方やアプローチの方法は、新たに溜まっていくデータとともに常に変化させる必要があります。これを人力で行うと、再び同じようにクラスタ分析やそれに基づく施策の設計をしなければなりません。
そこで事前のKPIなどをきちんと設計した上でAzure MLを導入しました。そうすることで、データが蓄積される毎にセグメントや行うべきアプローチが日々アップデートされるため、高いCVRを維持し続けることができます。
今流行のマーケティングオートメーション(MA)も一般的には年に1回といったペースでクラスタ分析を行いセグメントの切り方を見直していかなければなりません。しかし、Azure MLはそれさえも自動化することが可能なツールとなっており、MAの効果をさらに高められる存在になると思っています。
レコメンドでも大きく力を発揮するAzure ML
――他にAzure MLが使われるシーンはありますか。
八木:例えばレコメンドとして活用するのは有効だと思います。昨今は「この商品を買った人はこの商品も買っています」「このページを見た人はこのページも見ています」という協調フィルタリングによるレコメンドシステムがメインになっています。
売上の最大化を目的と考えた際、買いやすいものをレコメンドするのはもちろん重要です。しかし、よりあるべき姿として考えられるのが、LTVを最大化できる商品のレコメンドです。商品Aを買うのと最も同時に買われやすいのは商品Bだが、商品Aと商品Cを同時に買った人の方が1年後のLTVが高いとなれば、商品Cをレコメンドするべきなのです。この考えを実現するのがAzure MLなのです。
また、最近では、サイト上での行動ログ(閲覧ページや購入商品)以外の属性を使ったレコメンド要望もよくあがってきます。製薬会社の医師向け会員サイトで10,000ほどあるコンテンツのレコメンドをする際に、Azure MLを活用した事例があります。
年齢や開業医・勤務医、診療科などの属性を組み合わせ、各属性の重み付けなどレコメンドにおける最適解を見つけるには、人力だと毎回分析や設定に大きな労力が発生してしまいます。そこでAzure MLを活用することで、より最適な属性の組合せや重み付けを見つけることができ、効果の高いコンテンツを自動でレコメンドする仕組みを作ることができました。
――Azure MLの事例を聞くと、事前の設計が重要なようですね。
八木:重要であり、顧客が一番つまずく部分でもあります。「ルールの作り方がわからない」から始まり、「どのセグメントで分類するのか」「どうPDCAが回る仕組みを作るか」などに頭を悩ませる企業様が多いので、弊社がそこを明確にするためのサポートに入るケースが多いですね。
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