DMPを“DIY”するイメージで簡易構築を可能に
MZ:DMPの構築にはそれなりの時間が必要だと思いますが、どのくらいかかりましたか?
赤星:案件のお話を聞いたのが昨年11月ごろ、具体的に着手したのは12月ですね。それで、現段階(※2月中旬時点)ですでに十分稼動している状況です。
山本:ゼロからの構築は、もっとかかると思います。今回は、当社で元々運用していたさまざまな分析アプリケーションや、外部データとの連携システムをどんどん組み込んでいったので、非常に早くできました。これだけスピーディーに導入が進んだのは、簡易構築が可能なYahoo! ビッグデータインサイトを選択したからだと感じます。近々予定しているメディア企業向けのDMPも、DMPを“DIY”するくらいのイメージで簡単に構築して、速やかにマネタイズできるようにするつもりです。
純広告とアドネットワークの間の商材となりうる
MZ:なるほど。先ほど、精緻な分析でユーザーが次に読みたい記事をプッシュする、というお話がありました。具体的な例を教えていただけますか?
松下:たとえば、昨年夏に放送されたテレビ番組とコンテンツ提携し、モデルプレスで随時さまざまな情報をアップしました。ユーザーデータや閲覧データを分析しながら、テレビ放送と連動して継続的に記事アップし、SNS上での話題の拡散を最大化して視聴率向上につなげました。
山本:補足すると、たとえば「ダイエット」を検索して流入したユーザーも、深掘りするとその背景は結婚が近いからだったりします。すると、別途「結婚式場」などを検索し始めるとそちらに関心が移ってしまって、もうダイエット文脈には戻ってきません。
モデルプレスのコンテンツ量があれば、そのときにどんどんダイエット文脈の記事をプッシュして、その関心の芽を逃さずに育てていくことができます。
MZ:それが、メディアにおけるユーザーナーチャリングだということですね。
松下:そうですね。広告主が活用する場合は、広告主のデータも連携してDSPでダイエット系の広告を入れていけば、高い効果を見込めます。それが、広告主に新しい広告商品として提供する「modelpress DMP」なんです。ターゲティングとしても価格の面でも、純広告とアドネットワークのちょうど間くらいの商品展開ですね。
MZ:今のお話だと、ユーザー分析と求める情報とのマッチングを、かなり深い精度で行うことができるんですね。だからコンテンツの回遊も、広告効果も見込める。
山本:はい。元々相当のコンテンツ量がないと、ユーザーの関心に合わせて細かく記事を突き合わせられないので、これはモデルプレスのボリュームありきで構築しつつあるロジックです。女性向けの消費材やサービスを、ユーザーに深く刺さるレベルで無駄なく訴求できます。ここで確立したロジックは、メディア企業向けにリリースするDMPにも活かしていきます。