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ホリスティック・マーケティング入門 ~PGMから始めるWOMマーケティング~

インターネット「真価」論(後編)~ライブ・コミュニケーションマーケティングの台頭

2008年以降、さらに進化するインターネットの価値

 ここからは筆者の実感と予測となります。

 同じマトリクスを使って説明すると、筆者は2008年以降にマトリクスの右下の領域(同じ場所でリアルタイム)の活用が増えてくると思っています。

 具体的にはチャットやストリーミングなどが、この領域で利用されるサービスです。リアルタイムであることで、イベントとの連動もできます。

 これまでインターネットはリアル(現実社会)での制約から解放する方向で進化してきました。その結果、マトリクスでは座標面で対立に向かいます。もちろん、それは悪いことじゃありませんし、これからも重要です。

 一方で、あえて制約を受け入れることで新しい価値が生まれるとも思っています。特に時間の制約を受け入れることで手に入れられる「生々しさ(臨場感)」があると考えます。音楽のライブは、DVDで見るより会場に行くほうが盛り上がります。サッカーの試合はテレビで見るよりスタジアムに行くほうが盛り上がります。つまり、コミュニケーションは同じ場所や同じ時間を共有するほうが深くなるのです。

 現実には会場のキャパの問題があったり、住んでる場所やスケジュールの関係でそこに行けない人が多くいます。そういう人たちにもコミュニケーションできること(補完できること)がインターネットの価値として評価されてきたわけですが、例えば、同じ時間にパソコンの前に座ることで、同じ映像を見たり、みんなでチャットをしたりすることができます。これはメルマガやブログにはない価値があります。

 こうしたライブ・コミュニケーションとも言うべき、インターネットを使ったコミュニケーションが2008年以降増えていくとのではないでしょうか。そして、かつてのメルマガやブログのように、マーケティングやコミュニケーションを補完するツールとして、採用が進むと思っています。

 筆者も以前は、時間に縛られないことがインターネットの価値だと思っていた時期がありました。しかし、冒頭のゲームのインターネット対戦のように、いま一緒に遊べる人が簡単に見つかるだけのユーザー層がすでにいることを考えても、「同時性」を前提にしたインターネット活用が始まってもおかしくないと思うようになりました。

 ケータイメールはすでにチャットのように、すぐに返事が届きます。ニコニコ動画はサービスとしては「非同期」(時間の制約をはずす)なのですが、利用者には「いま、まさにたくさんのユーザーが同時に書き込んでいる」かのように見えます。このような事象を見ても、ライブ・コミュニケーションは今後インターネットの新しい価値として見直されていくと思っています。

 これまで通りのコミュニケーションがなくなるとは思いませんが、企業のコミュニケーションツールは、メルマガやブログのように「時間のあるときに読んで」だけでなく、「同じ時間を共有しよう」という生放送やチャットの活用が増えていくでしょう。

 そのときに「世界中の人が繋がれる」インターネットの真価が再認識されるのではないでしょうか。そういう取り組みがいまから楽しみでなりませんし、そこに関わっていきたいとも思っています。

 今回の話と関連した内容として、筆者のブログに「対話型マーケティングと今後の企業サイトのあり方」 としてまとめてあります。お時間のある時にでも読んでいただければ幸いです。

前編の記事を読み直したい方はこちらへどうぞ!

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この記事の著者

河野 武(コウノ タケシ)

1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。マーケター。企画屋。
1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知ら...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/12/27 11:05 https://markezine.jp/article/detail/2410

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