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マーケティングオートメーションに潜む3つの罠 成果を導く「シナリオ設計のフレームワーク」とは

マーケティングオートメーションに潜む3つの罠

 MAに対するニーズの高まりの背景がわかったところで、安部氏はMA導入時に起きやすい3つの問題、「コスト・工数の増加」「効果測定・ROI算出が困難」そして「高難易度なシナリオ設計、運用」を挙げた。

 まず「コスト・工数の増加」は、MAを導入すると、「顕在コスト」と「潜在コスト」が増加傾向になる企業が多いという。

 顕在コストとは、ツールにかかる費用のことを指す。初めはMAを導入するだけのつもりが、スコアリングの精度を上げるために分析ツールを導入し、営業サポートのためにSFA(営業支援システム)を導入するなど、結局、成果を追及していくとMAだけでは必要機能をカバーできなくなり、新たなツールを導入することで費用が増加してしまうという。

 一方、潜在コストとは業務にかかる負荷だ。MAだけでなく他のツールを複数導入することで、業務が複雑化し、潜在コストも非常に高くなってしまう。各ツールからのデータ抽出や上長へ提出するレポートの作成といった作業で1日の大半が奪われてしまうといった状態に陥るケースもある。

 2つ目の「効果測定・ROI算出が困難」は、集客施策・販売促進・顧客管理という3つのマーケティングステップにおいて、ツールやデータがステップごとに分断されているがゆえに、どのシナリオや施策が最も費用対効果が高いのかがわからない。それにより、最も成果の上がる施策をMAで自動化させていくことが困難になってしまう。

シナリオ設計の成功モデル「4S」とは

 そして、安部氏が最も熱く語ったのは、3つ目の「高難易度なシナリオ設計、運用」に関してだった。「シナリオ設計とは、誰に、何を、いつ、どのように伝えていくのかを決めること。ほとんどの組織では、このシナリオ設計につまずき成果が上がっていない」と語る安部氏。至極当然のことに思えるが、実現するまでのハードルが高い。

 「本日のセッションで1番重要なテーマであり、MAを導入している企業からいただく相談の中でも、圧倒的に多い。ただ、我々の実績から導き出したフレームワーク『4S』を元に苦戦しないポイントを解説したいと思います」(安部氏)

 「4S」とは、安部氏が「B→Dash」を導入している顧客企業に対するコンサルティングの中で誕生した理論。具体的には、「Star target」「Scoring on hotlead」「Small campaign」「Special content」という4つのポイントの頭文字をとっている。ひとつずつ詳しく見ていこう。

 まず一つ目の「Star target」は、重要・重点顧客にターゲットを絞ることを表している。

 「MAはターゲティングを細かく行えます。しかし、細かくした分ターゲットごとにスコアリングやキャンペーンの設計をする必要があるため、膨大な工数がかかってしまう。また、優先順位が曖昧になりやすく、明確な効果が感じられにくい」と安部氏は指摘する。そして同氏は、最初に「Star target=ロイヤルカスタマー」を明確にすることの重要性を説いた。

 「重点を置くターゲットを設定し、まずその中での収益化に注力します。その後、徐々にターゲットを増やしていくという考え方が必要です。ほとんどの企業は、はじめから細かいターゲットの分類に必死になる傾向が強い。しかし実は、まずは重点を置くターゲットに勇気を出して絞り込んでしまうことが重要なのです」(安部氏)

 2つ目の「Scoring on hotlead」はホットリード、つまり受注や申込に繋がりやすいリードの定義を明確にし、スコアリングしていくことを指す。

 「先に施策別にスコアリングを設計してしまうと、スコアが高いのにホットリードとは程遠い案件が出てくることがあります。ホットリードの定義を明確にしていれば、多少スコアリングの設計が甘くなっても、PDCAを回す中で調整することが可能です。言葉にすると本当に単純なことですが、これが実際に導入してみると相当難しい。ホットリードではないリードを営業に渡してしまい、成果につながらないケースが数多く見受けられます」(安部氏)

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&a...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/04/19 10:00 https://markezine.jp/article/detail/24194

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