相手へ期待する “アクション” を伝えると状況が動く
いくつか主張の例を挙げたが、マーケティング業務における主張や、それをサポートする理由の説明を軸に考えると、使う単語やフレーズは限られてくる。英語の会話を構成する軸は、相手へのアクションの要求やこちらの状況の理解を促すことである。
つまり、動きがある言葉や状況を表すフレーズが中心となる。予算を配分する (allocate)、キャンペーンをローンチ (launch) するなど、「情報」「人」「モノ」「金」を動かす言葉である。まさにそれが生きた言葉となる。
主張に使う言葉の種類を挙げよう。
モノ
制作物であるカタログのレビューを製品担当に依頼する
「カタログをレビューして2日以内に戻してください」
─ Please review the catalog, and get back to me in 2 days.
ローンチしたキャンペーンの状況を共有する
「新商品キャンペーンを先週ローンチして、リードを500件獲得できました」
─ The campaign we launched last week generated 500 leads.
お金
予算の提供や配分を依頼する
「全体予算の10%を配分してください」
─ Allocate (or give) us 10% of the total budget.
人
スケジュールをおさえる
「ミーティングがあるので、スケジュールをおさえておいてください」
─ Please block your schedule for the coming meeting.
情報
情報の提供を依頼する
「夏のキャンペーン情報をもう少し詳しく教えてください」
─ Tell us more about the summer campaign, please.

これらの表現をみると、アクションをリクエストする言葉は限られてくる。要求する、提案する、勧める、配分するなどである。ビジネスを動かす“主張”に使う言葉はこのように限られ、そして基礎的な言葉で表現できることをお分かりいただけただろうか。
今、この瞬間に “I am sorry, my English is not very good.”から卒業しよう
“I am sorry, my English is not very good.”では何を主張したいのだろう?
フレーズに含まれる意図を読み解くと、自分の弱みを共有することによって、相手が手加減してくれるだろうという期待がある。「察してもらえるだろう」という日本人的なコミュニケーションから卒業し、主張を通す英語の習得を意識し、次のステージを目指そう。
もしこの表現をあえて使うのであれば、“It will help us if you could speak a bit slower.”(ちょっとゆっくり話してくれると助かるのだけど)とダイレクトに主張してみよう。結局、海外の人は、みんなゆっくり話すことには慣れていないので、元のスピードに戻ってしまうのだが。
英語という“言語 = ツール”を使って、メール、プレゼン、ミーティングなど様々なシーンにおいて、主張を通し、前にビジネスを推し進めていく。これが英語を話す意味と目的であり、ビジネス上での英語の“使い方”になる。そう英語を“使う”のだ。
次回からは、“主張する英語”という観点に基づいて、実際に役立つ具体的な勉強法やシーン別 (メール、電話会議、交渉など) の活用方法をシリーズでお伝えしていく。