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【出張版】fluct magazine

インハウス広告運用のメリット・デメリットを、担当者にズバっと聞いた

最も大きなメリットは、マーケティングの事業直結化

── 多くの獲得系クライアントさんが代理店に広告の運用を任せることが多い中で、なぜレバレジーズさんはインハウスでの広告運用を行うのですか?

 インハウス運用をはじめた当初は予算規模やメディア数が今ほど多くはなかったので、先輩運用者と私の2人だけで純広告、リスティング、アフィリエイトをすべて運用していました。それからメディアの数が増えたり、運用するツールが増えてもインハウスの姿勢を崩さなかったのは、インハウスで運用することにメリットがあると確信しているからです。

 まず、なによりマーケティングのノウハウを社内で蓄積していくことが市場での優位性に繋がると思っています。事業の広告運用、メディア運用を自分たちの手で行うことは、一つ一つの施策のROIを細やかに判断しながら運用することにつながります。1CVあたりの売上期待値は、そのユーザーの属性や、どの経路から生まれたCVなのかによって全く異なります。

 場合によっては、仮にCPAが0円だったとしてもROIがマイナスになってしまう場合もあるわけです。インハウスのメリットは、そこまで見ながら精緻な運用が出来ること、そしてその過程で、どんな運用をすれば高いROIを実現できるのかを学習できることです。そのため、私たちはインハウスを選びました。

 次に、スピード感を持った運用ができることです。例えば新たなターゲットやセグメントを発見しても社内であればすぐ対応でき、新しい施策などもすぐに実行できます。事業に必要なことを即断即決ですぐに実行できる。隣にエンジニアやデザイナーがいれば、すぐにLPやクリエイティブを変えられますよね。

 そして、最後が一番大切なことだと思うのですが、事業に関わる人の目的意識や方向性が合わせやすいということです。どうしても自社の中長期の戦略などは他社さんには出せないこともあるので、お互いの目的意識や方向性をあわせることには限界があります。

 自社の社員であれば、中長期の戦略を早い段階で知ることができるために、自分のやっている仕事が事業全体にどういう意味を持つのか、どういうことが大切なのかといったことを深く考えながら日々の運用ができます。

 また、自社の社員であれば、1人ひとりの運用者が、「自分たちが獲得した会員がどのくらいの割合で転職できているのか?」というCPAやCVR以前の「いったい自分たちのサービスはお客様のためになっているのか?」という自分たちのサービスの存在意義に関する情報も知ることになります。

 いくらCPAが安くなっても、CVRが高くなっても、その先に価値を提供できていなければ意味が無いですよね。そこまで自分たちのサービスを意識して日々の広告運用できるってすごい強みだと思うんです。

デメリットは、人員・属人化・視野が狭くなる

── 逆にインハウスで運用しているからこその課題やデメリットはありますか?

 もちろんあります。

 まず代理店さんにお手伝い頂くのと比べると圧倒的に人員が必要ということです。インハウスで広告運用を1から10までを行うには、多くの人材が必要です。また、プロモーションチームには新卒入社が何人もいますが、彼らが一人前になるまでにある程度の教育の時間も必要になります。数も必要な上に、育成にも時間がかかります。まずはここが1つ目のハードルです。

 2つ目のハードルはインハウス運用によってノウハウが蓄積される一方、属人化も進むので、ノウハウをチームで共有する仕組みを作らなくてはならないことです。

 レバレジーズではノウハウの共有のために、チームの上長と運用者が、その週にどんなことをしたのか、良かったこと、悪かったこと、課題や対応策を話し合う確認会というのを毎週行っています。同じメディアの担当者同士ではノウハウ共有の仕組が作れているのですが、それを横軸で他のメディアに共有できるような仕組みは出来ていません。そこが2つ目の課題です。

 また、人材以外の面の課題は運用者の視野が狭くなりがちなことだと思います。インハウスで運用することは、他社やマーケットの情報が入ってこなくなるということなので、今の運用方法が他社と比べてどうなのか、といった比較ができないのです。これは、一部の信頼のおける代理店さんとお付き合いをしたり、同業他社の担当者と頻繁に情報共有することで解決しようとしています。

 他に、組織的な課題もあります。今の運用体制は各メディア個別の事情を出来る限り反映させていく「個別最適」の方法です。もちろん事業のドライブに個別最適は必要なのですが、一方でレバレジーズとして、もしくは各メディアとして、均一のユーザー体験を提供するとか、各施策で相乗効果を生み出していくといった「全体最適」も考えなければいけません。そのさじ加減がむずかしいですね。

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fluct magazine編集部(フラクトマガジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2016/05/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/24348

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